2006 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞活性化におけるTCRミクロクラスター形成とラフト動態の時空間制御の解析
Project/Area Number |
18790344
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
多根 彰子 (橋本 彰子) 独立行政法人理化学研究所, 検疫シグナル研究グループ, 研究員 (10415226)
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Keywords | T細胞 / 免疫シナプス / ラフト / 蛍光イメージング |
Research Abstract |
T細胞は抗原提示細胞との接着面に免疫シナプスと呼ばれる構造を作ることから、免疫シナプスの形成こそが活性化であると予測されていた。しかし我々は、免疫シナプスが形成される数分前に接着面一面に形成されるTCRのミクロクラスターから活性化が始まっている事を明らかにした。本研究ではTCRミクロクラスター形成に関してラフトが果たす役割を明らかにする。従来受容体やシグナル分子を会合させるシグナル伝達の足場であるとされてきたラフトに関して、ラフトはクラスターを作らないとするデータも多く出されており真意の程はわからないのが現状である。 T細胞にラベルしたTCRとラフトプローブを導入して、MHC分子と接着分子を含む脂質二重膜上に落とし、接着面にできるTCRクラスターとラフトを観察した。ラフトプローブとしてはコレラトキシン、ラフト局在分子LATやlckの細胞内部分を削った変異体を用いた。なお、計画段階でTCRのラベルに使用する予定だったmRFP, mCherry, KusabiraOrangeはいずれも細胞内ベジクルに蓄積してしまい本実験には不都合であり、別のラベル方法に変更する必要に迫られた。そこで細胞に蛍光リガンドを取り込ませるとHalo Tagをラベルした目的分子のみが染まるという新しい手法に挑み、本実験系への導入に成功した。Halo Tagの導入によって2種類の分子の動態を同時に追う事ができるようになり、データの質が格段に向上した。 Halo tagでラベルしたTCRとラフトプローブを同一細胞内で同時に観察した所、いずれのプローブにもTCRクラスターの場所に集まる様子は見られなかった。この結果はラフト自身がクラスターを作るという定説を覆す、重要なデータである。今後はラフトプローブではなくラフト局在分子について実験を行い、分子のラフト局在が与える影響からラフトの意義を追究して行く。
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