2006 Fiscal Year Annual Research Report
在宅高齢者ケアのリスク管理:薬物療法の安全な自己管理の阻害要因究明と対応策の構築
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18790352
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
緒方 泰子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 助教授 (60361416)
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Keywords | 危機管理 / 社会医学 / 高齢者 / 在宅医療 / 薬物療法 |
Research Abstract |
高齢者は一般に複数の疾患に罹患しており、複数の薬物を服薬している場合が少なくない。高齢者が安全な在宅療養生活を送れるよう、薬物療法の適切な自己管理を阻害する要因を明らかにしておくことは急務である。 本年度は、在宅療養中の高齢者の薬物療法に関連したエラー(不適切な管理・有害事象等)の発生状況を明らかにし、エラーの内容や量、生命への危険度といった観点から整理を行うことを目指した。具体的には、先行研究のレビュー、訪問看護師等の在宅ケアサービス提供者へのヒアリング調査等を行い、事例レベルでの情報収集と情報整理を行った。 ヒアリングによって不適切な薬物療法がなされた事例として、以下のような事例が挙げられた;1)在宅療養者自身や家族による不適切な管理(服薬方法の間違い、服薬すべき薬物の種類の間違い等)によるもの、2)薬の形状と嚥下機能との不適合等、処方段階で発生しているもの、3)輸液ポンプ等医療機器関連の薬物療法管理に関連するもの(トラブル発生時の本人・家族による対処に困難を伴う)、4)医療提供者によるインシデントやアクシデント、などである。また、療養者の服薬状況が不適切である場合に、そのことをタイミングよく(アクシデントになる前に)専門職が把握する方法を確保する必要があると考えられた。 次年度は、エラー発生の関連要因の同定と、患者・環境・ケア等の視点から博報を整理し、ケア提供方法や多職種連携のあり方等を含め、高齢者の薬物療法の安全な自己管理に結びっく対応策の構築を目指す。また、在院期間が短く在宅ケアが充実している米国や豪州等における在宅高齢者の薬物療法管理に関する問題点やエラー、その対応策や仕組等について、わが国への応用可能性を考慮しながら、研究者や専門職を対象に現地で情報収集を行う。
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