2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790354
|
Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
東 尚弘 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, がん予防・検診研究センター検診研究部・検診評価研究室, 研究員 (10402851)
|
Keywords | 医療の質 / 抗生物質 / 上気道炎 |
Research Abstract |
抗生物質の過剰使用は耐性菌の蔓延をまねく。抗生物質が過剰使用されているとされる状況はウイルスが原因の風邪に対する物が多いとされるが、中立なデータ源からのわが国における検証はこれからである。本研究ではある企業健康保険組合のデータの使用許可を得て、2005年の1月から3月において特に細菌性と記されていない上気道炎の診断で受診した患者への抗生物質の処方割合を検討した。同月複数回受診患者は重症である可能性があることや、抗生剤処方と受診の対応が取りづらいことから除外して検証したところ、2577の受診で60%の上気道炎受診で抗生物質が使用されていることがわかった。最も多く処方されるのは第3世代セフェムであり、マクロライド、キノロン系薬剤の順番であった。総合すると診療所の方が病院よりも処方割合は高く、処方割合を基準に施設数の分布を検証したところ2峰性となった。一つの山が90%程度の抗生剤処方率の施設であり、もう一つの山は40%程度の処方率であり、ほぼ全例に抗生物質処方する施設と、症例を選んで処方する施設の分布の差が見られた形となった。 さらに、Web質問法を用いて一般人の意識調査を行ったところ、3277名が回答し、半数以上がかぜで受診した際には医師に抗生物質を処方してほしいと思うと答えた。さらに4割程度が、かぜで受診した際に抗生物質の説明がなかったら、6割が何らかの方法で確認すると答え、処方されていないと判明したら、半数近くが処方を依頼する・理由を尋ねるとした。このように一般人の意識としてかぜに対しても抗生物質が有効であるという誤解が蔓延していることが明らかになり、今後抗生物質の過剰使用への対策の一つとして、一般人への教育が必要と考えられる。
|
Research Products
(1 results)