2006 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤師の倫理観に基づくコミュニケーション資質向上のための研究
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18790358
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
川村 和美 名城大学, 薬学部, 非常勤講師 (10424946)
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Keywords | 倫理 / コミュケーション / 薬学 / 教育 / 倫理規定 / 人文学 / 声遣い |
Research Abstract |
本研究は,薬剤師の倫理とコミュニケーションの関係について探求してきた。本年は韓国,インド,イギリスの薬剤師倫理規定を入手し,翻訳に取り組んで,諸外国の職務規範から薬剤師に求められる倫理を模索した。現場で起こりうる倫理的ジレンマのケースを20余作成した。同時に,社会学,人間学,人類学などの人文学的アプローチから薬剤師の倫理・コミュニケーションを検証してきた。人文学的な視点から薬剤師の職務を考えてみると,薬学の領域では見えてこなかった側面が明確になってきた。本年の研究で辿り着いたひとつの答えは,欧米で医療従事者を対象に積極的に展開されている医療人文学教育プログラム(Medical Humanities Education Program)の重要性である。本プログラムをなす科目として論理およびコミュニケーションが位置づ}ナられていると判明した。薬剤師が倫理観を根幹とする対人コミュニケーションを図るには,倫理の重要性を訴えるのでも,コミュニケーションのテクニックを極めるのでもなく,いのちに関わる医薬品を取り扱う者として,薬剤師として働くことの社会的な重みを感じながら,患者・顧客と接せられることである。薬剤師が具体的な事例を用いてその先にいる患者・顧客をイメージし,トレーニングできるような薬剤師向けの医療人文学教育ツールの開発が必要である。以上のような成果を著書,実務者の購読する雑誌に発信してきた。引き続き倫理学者・心理学者からの助言を仰ぎながら,医療職種の倫理関連書籍,社会調査などを通して、今後こうした教育を求める。さらに,本年はフリーアナウンサーの協力を得て,コミュニケーションを図る際,医療従事者の声が患者・顧客に与える影響の大きさを知り,薬剤師向けのe-learningのコンテンツを開発した。
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Research Products
(4 results)