2006 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症治療におけるSSRI併用療法の神経科学的基盤に関する研究
Project/Area Number |
18790365
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吾郷 由希夫 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (50403027)
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Keywords | 統合失調症 / うつ病 / 抗精神病薬 / SSRI / 併用療法 / マイクロダイアリシス法 / 精神疾患病態モデル |
Research Abstract |
本研究では、統合失調症におけるSSRIと抗精神病薬併用療法の科学的基盤を追究することを目的に検討を行ってきた。平成18年度の具体的な成果として、実施計画(1)マイクロダイアリシス法を用いた脳内神経伝達物質のin vivo動態解析、並びに(3)抗精神病作用、抗強迫性障害作用、抗うつ作用等の行動薬理学的解析による検討から、以下のような成績を得た。実施計画(2)に関しては現在進行中である。 SSRIの作用発現における受容体機構を解析し、フルボキサミンの抗強迫性障害作用における5-HT_<1A>受容体の役割を明らかにすることができた(Behav.Phammacol.,17,637-640,2006)。これまでに我々はフルボキサミンと定型抗精神病薬スルピリドの併用により抗うつ様作用の増強が見られることを報告してきたが、抗強迫性障害作用に関しては併用効果の有効性は認められなかった(unpublished data)。また両薬物の併用が大脳皮質のドパミン神経系を活性化することを報告してきたが、新たにアセチルコリン神経系に対する作用を検討し、定型・非定型抗精神病薬とSSRIの併用によってはアセチルコリン神経系に影響がないことを明らかにした(J.Pharmacol.Sci.,102,419-422,2006)。一方、薬物誘発精神病モデルマウスを用いた検討から、これまで重要視されてきた脳内ドパミン神経活動の変化以外に、新たにセロトニン神経系の重要性を示唆する知見を発信した(Neuropharmacology,51,914-922,2006; Pharmacol.Biochem.Behav.,85,198-205,2006; Synapse,60,479-484,2006)。
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Research Products
(10 results)