2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素の細胞外排泄におけるエストロゲンの親電子性代謝物の役割:Nrf2の関与
Project/Area Number |
18790376
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
角 大悟 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30400683)
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Keywords | 親電子性物質 / 慢性ヒ素中毒 / Nrf2 / Keap1 / キノン型エストロゲン / キノン型エストロゲン |
Research Abstract |
本研究は、ヒ素の細胞外排泄における転写因子Nrf2活性化を介したエストロゲンの親電子性代謝物の役割を解明することを目的とした。前年度の結果から、我々は、エストロゲン代謝物のなかでもカテコール体エストロゲンが解毒代謝酵素群の発現を制御している転写因子Nrf2を活性化すること、および下流遺伝子の発現を上昇させることを明らかにした。また、これらの活性化が、メトキシエストラジオールで検出されなかったことから、カテコール体が重要であることが明らかとなった。 今年度はこれらの結果を踏まえ、ヒ素による細胞毒性をエストロゲン化合物が防御できるかについて検討した。C57BL/6Jマウスから初代肝細胞を採取した。本細胞にエストロン(El)、4一ヒドロキシE1(4-OHEI)、エストラジオール(E2)、2一ヒドロキシE2(2-OHE2)、4-ヒドロキシE2(4-OHE2)、2-メトキシE2(2-OMeE2)を50μM濃度で24時間培養した。その後、100μMの無機三価ヒ素(iAsIII)を添加し24時間後の細胞死をMTT法により検討した。その結果、4-OHE1、2-OHE2、4-OHE2の曝露によってiAsIIIによる細胞毒性が軽減された。また、2-OMeE2によっても若干、iAsIIIによる毒性が軽減されたが、カテコール体ほどの防御効果が検出されなかったことから、前年度の結果を合わせて考察すると、ヒドロキシ体エストロゲンのNrf2活性化作用によって、iAsIIIによる細胞毒性が軽減されることが明らかとなった。本研究と平行してヒドロキシ体エストロゲンの生体内代謝物であるキノン型エストロゲンを認識する抗体の作成を試みている。本抗体により、キノン型エストロゲンとNrf2の負の制御因子Keap1との結合を検出することが可能になり、Nrf2活性化機構を立証することができる。
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Research Products
(8 results)