2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ素材が皮膚炎に及ぼす影響とそのメカニズムの解明に関する研究
Project/Area Number |
18790389
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
柳澤 利枝 独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究領域, 研究員 (70391167)
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Keywords | 皮膚疾患 / ナノ素材 / アレルギー |
Research Abstract |
1.ラテックス粒子がマウス皮膚炎モデルに及ぼす影響 NC/NgaTndCrjマウス(以下NC/Nga、♂、8wk)を7群に分け、ダニ抗原(Dp)、もしくはvehicleを、2-3日おきに、計8回、5μg(10μl)を右耳介部に皮内投与し、皮膚炎を形成させた。ラテックス粒子は、Dp投与前より週1回、計4回、3種類のラテックス粒子(25,50,100nm)を、50μg/10μL/animal/回、患部に塗布した。また、ラテックス粒子単独での影響についても併せて検討した。その結果、ラテックス単独では、皮膚炎症状の変化は認められず、ダニ誘発皮膚炎への影響についても、明らかな増悪は認めなかった。 2.ラテックス粒子がバリア機能の破綻を想定した皮膚炎モデルに及ぼす影響 アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能破綻が病態の増悪や継続に関与すると考えられている。1.の結果から、バリア機能障害を想定した動物モデル、すなわち、ラテックス粒子とDpを同時、あるいは粒子単独(20μg/animal/回)で、計8回皮内投与し、皮膚炎に対する影響を検討した。その結果、ラテックス単独曝露でも患部腫脹が惹起され、粒径が小さい程増悪傾向を示した。さらに、アレルゲンとの共存は、皮膚炎症状を著しく増悪した。 3.二酸化チタン粒子がバリア機能の破綻を想定した皮膚炎モデルに及ぼす影響 二酸化チタンは、粒径は3種類(15,50,100nm)を設定し、Dpと同時、あるいは粒子単独(20μg/animal/回)で、計8回皮内投与した。その結果、単独曝露による影響は認めなかったが、アレルゲンとの併用曝露では、皮膚炎症状を著しく増悪した。一方、粒径の違いによる影響は認められなかった。 今年度の結果より、バリア機能の障害時にアレルゲンと共にナノ素材に曝露されると、皮膚炎症状を著しく増悪する可能性が示唆された。また、ナノ素材によっては、アレルゲン非存在下でも皮膚炎が惹起され得る。
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