2006 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部がんの発病に対する遺伝子環境要因の交互作用に関する研究
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18790390
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
鈴木 勇史 愛知県がんセンター(研究所), 疫病・予防部, リサーチレジデント (70416163)
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Keywords | 頭頸部癌 / リスク / 抗酸化作用 / 遺伝子多型 / 喫煙 / 飲酒 / アルコール代謝酵素 / 葉酸代謝酵素 |
Research Abstract |
本研究は頭頸部がんの発症に関わる生活習慣、遺伝的背景を明らかにすることを目的としている。生活習慣の中で喫煙、飲酒は頭頸部がんの確立された危険要因であるが、その他の要因に関する疫学的な報告は少ない。本年度は食習慣、特にタバコやアルコールで消費される抗酸化物質(カロテン、ビタミンCおよびE)の摂取と頭頸部がんのリスクについて症例対照研究の方法で検討した。症例は組織学的に頭頸部扁平上皮癌と診断された385例(口腔がん193例、咽頭がん132例、喉頭がん65例)、対照は当センターを受診した非がん患者で、症例に対して年齢、性を1:5でマッチさせた1925例とした。食習慣を含む生活習慣の情報は自記式問診票を用いた。カロテン、ビタミンCおよびEと野菜、果物の摂取量は47項目の食物摂取頻度調査の回答から算出した。関連の指標として条件付きロジステック回帰分析によるオッズ比(OR)と95%信頼区間(95%CI)を用いた。結果はカロテン、ビタミンCおよびEの摂取が多いほど頭頸部がんのリスクは減少する傾向を認めた。それら抗酸化物の最小摂取者に比べた最大摂取者のオッズ比は、カロテン0.59(95%CI : 0.42-0.84)、ビタミンC 0.55(95%CI : 0.39-0.78)、ビタミンE 0.61(95%CI : 0.43-0.85)で、すべてにおいて有意差を認めた。喫煙・飲酒習慣別の検討では、喫煙・飲酒習慣にかかわらず,抗酸化物質の摂取は頭頚部がんのリスクを低下させる傾向を認めた。また、野菜および果物の摂取も同様に頭頸部がんのリスクを低下させることを認めた。以上の結果は頭頸部がんの予防方策を考える上で意義が高いものであると考える。現在、頭頸部がんのリスクにおよぼす遺伝的要因ついての検討している。
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