2006 Fiscal Year Annual Research Report
医療系大学生に対するクォンティフェロン検査を用いた結核対策の精度向上に関する検討
Project/Area Number |
18790397
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堀田 勝幸 岡山大学, 保健環境センター, 助手 (70379816)
|
Keywords | 結核健診 / クォンティフェロン検査 / ツベルクリン反応検査 |
Research Abstract |
<背景>医療系学生は臨床実習時に結核患者と接触する可能性がある。本学では実習前にツベルクリン反応検査(ツ反)を用いた結核健診を行い、各学生の基礎値を作成している。しかしツ反ではBCG接種の影響をうける問題点が存在する。一方、近年開発されたクォンティフェロン検査(QFT)はヒト型結核菌特異抗原を用いたキットで、BCGワクチンの影響を受けることがないとされる。そこで結核健診を行うにあたり、QFTがツ反に代替可能かどうか検証することを目的としてQFTも用い、従来のツ反と精度比較を行うこととした。<方法>臨床実習前の医療系学生と医療系大学院1年生のうち、本研究に同意した学生を対象とした。同時期にツ反とQFTの両者を行った。ツ反強陽性は便宜上発赤40mm以上または出血・水庖等の付加所見を伴うものとした。QFTはメーカーの判定基準に従った。<結果>2006年5-7月の間に医療系学生と大学院生536人中、207人(56%)が本研究に参加した。年齢中央値は20歳で多くの学生はBCG接種歴を有していた(92%)。最近の明らかな結核患者との接触歴を有する学生は認めなかった。ツ反では強陽性者66人(17.9%)で、うち3人(0.8%)が付加所見を伴っていた。一方、QFTでは3人が陽性で(1.4%)、9人が判定保留(4.3%)であった。ツ反付加所見有りの3人とQFT陽性の3人とは全く重複しておらず、他のツ反強陽性者のほとんど(89%)もQFT陰性の結果であった。<考察>両検査結果の低一致率を認めた。多くの対象学生がBCG接種歴を有し、ツ反にて偽陽性と判定されている可能性があり、低一致率の一因と考えられた。また、日本人20歳の推定累積結核菌感染率がQFT陽性率と近似していることなどからも、今後QFTを結核健診のツールとして用いる有用性が示唆された。<今後の展望>QFTの精度をさらに確認するために、これらの集団の長期経過について今後慎重に観察する必要がある。また、Th1系のIFN-gammaに相対するTh2系のIL-10の値が結核菌抗原暴露によりどのような変化をきたすかについて解析中である。
|