2008 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症スペクトラム障害児診断のための主たる養育者への構造化面接法の開発
Project/Area Number |
18790404
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
長田 洋和 Senshu University, 法学部, 准教授 (00365842)
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害 / 質的研究 / ナラティヴ / テキストマイニング / 早期介入 / インタビューガイド / 精神保健 / 高機能発達障がい |
Research Abstract |
発達障がい発見の原点として, 母親(あるいは主たる養育者)に, 子どもが生まれてから, 自閉症スペクトラム障害(ASD)の診断を受けるまでの母親から見た子どものASD特徴の本質を質的に捉え, 見出された本質をもとに, 構造化面接法(Japanese Diagnostic Interview for ASD : JADI-ASD)の質問項目を構築および開発する. 精神保健, 母子保健に携わる専門家なら, JADI-ASDにより, 臨床の力量(経験)に左右されず, 正確にASDの鑑別が行えることどなり, ASDへの早期介入もよりスムーズになるはずである. 本研究は, 構造化面接法であるJADI-ASDを開発し, その有用性を検討することを目的とする. 本年度は, 高機能発達障がい(研究者注 : 「軽度発達障害」に代わる用語として用いた. 高機能自閉症, 注意欠陥/多動性障害, および学習障害を含む発達障がい)を育てている母親へのナラティヴインタビュー(昨年度から合わせ合計22人)を行い, すべて逐語録に起こした後, テキストマイニングを用いて質的に分析を行った. 各母親の語りは, 高機能発達障がいの子どもを産んでから現在までのライフヒストリーであり, 各々異なっていたが, 高機能発達障がい児を育てている母親には共通する特有の問題があることが示唆され, 母親の語りから抽出されたカテゴリをもとに特異な質問項目が見出せた. JADI-ASDの開発としては, 必ずしも十分な面接法の開発には至らなかった. しかし, 本研究で提示できた「乳幼児インタビューガイド(Early Infants Interview Guide ; EIIG)」は, 少なくとも, わが国の世界に誇れる乳幼児健診システムの中で, 保健師や心理士といったコメディカルの専門家にとって, 早期に高機能発達障がいを有する子どもを発見する一助になる可能性が十分にあると思われる. 今後, EIIGを実際の健診の場で用いたエヴィデンス・ベイストの研究を引き続き行っていくことが望まれる.
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