2006 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウイルスの非流行期中における存在様式の解明
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18790415
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
森川 佐依子 大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 研究員 (40321939)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / インフルエンザ / 乳幼児 / 非流行期 |
Research Abstract |
非流行期中のインフルエンザウイルス(以下FluV)の存在様式を解明するため、5月から今シーズン流行期前にあたる12月前半までに上気道由来検体からのウイルス検出を試みた。上気道由来検体192検体、血液検体21検体を得、MDCK, Hep-II細胞を用いたウイルス分離と、抽出したRNAからのFluV遺伝子およびRSウイルス遺伝子の検出を行った。期間中、上気道由来検体から、AH1亜型2株、B型1株のFluVが分離され、AH3亜型1株のFluV遺伝子を検出した。血液検体からのウイルス検出は全て陰性であった。検出ウイルス中、AR1亜型、AH3亜型の各1株は海外流行地域からの輸入例であり、B型1株についても周辺地域での流行を受けたものであったため、目的とするFluVはAH1亜型の1株のみであった。 しかしながら、分離されたウイルスを国立感染症研究所から分与された当該シーズン用FluV同定キットを用いた赤血球凝集抑制試験により抗原性を解析したところ、前シーズン(2005/2006シーズン)の流行株(19株)は全てワクチン株であるA/NewCaledonia/20/99と類似の抗原性を示したのに対し、非流行期に得られたウイルスは異なる抗原性を示し(ホモ価1280倍に対して160倍)た。同様に今シーズン(2006/2007シーズン)、福岡市内のAH1亜型の分離株で約6割がワクチン株と異なる抗原性を示している。これら抗原性の異なるウイルスは局地的な流行のみにとどまっているが、今後の流行の主流株となる可能性を持っており、さらに非流行期中のFluVの動態を検討することで次シーズンの流行に何らかの対策が立てられることと思われた。
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