Research Abstract |
昨年度に引き続き,2007年第25週から第47週までのインフルエンザ非流行期間中に,上気道由来検体からのインフルエンザウイルス(以下FluV)検出を試みた。期間中,大阪府北河内地区にある1小児科を受診した,上気道症状,発熱を呈した患者より鼻汁718検体を得,迅速診断キットによるFluV抗原検出,MDCK,Hep-II細胞を用いたウイルス分離と,抽出したRNAからのFluVおよびRSウイルス,ヒトメタニューモウイルス遺伝子の検出を行った。今年度は,低年齢層の受診が多い小児科に検体採取を依頼し,多数の検体を検索できたが,FluVは検出されなかった。検体採材に協力頂いた患者の平均年齢は1.79歳(最年少は10日齢),0歳児由来検体25.2%,1歳は38.5%であった。また,これら低年齢層からは第29-32週と第37-39週にはヒトメタニューモウイルスが集中して検出され,第46,47週にはRSウイルスA亜群が集中して検出された。 本研究では,「非流行期間中はインフルエンザウイルスは地域内にとどまっている」という仮説に基づきその検出を試みたが,今回の結果および年度中に発表された関連文献^<*1,2)>を考慮すると,インフルエンザウイルスは世界規模で流行しており,ウイルスは海外流行地域から持ち込まれ,その地域の気温,抗体保有状況,他疾患の流行状況などの条件に左右され,流行のきっかけとなることが強く示唆された。 ^*1)Nelson MI.et.al.PloS Pathogens 2007 Sep 14;3(9)1220-8 Phylogenetic Analysis Reveals the Global Migrationof Seasonal Influenza Aviruses. ^*2)Colin AR.et.al. Science 18 April 2008:320.(5874)340-6 The Global Circulation of Seasonal Influenza A (H3N2)Viruses.
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