2006 Fiscal Year Annual Research Report
デジタルイメージングによる画像解剖の法医診断確立への応用
Project/Area Number |
18790422
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飯野 守男 京都大学, 医学研究科, 助手 (80362466)
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Keywords | 画像解剖 / デジタルイメージング / 死後画像診断 / オートプシーイメージング / 個別識別 |
Research Abstract |
【方法】法医解剖室に設置したポータブルX線装置および自動現像機を用いて,年齢・性別・死因・死後経過時間の異なるさまざまな死体合計42例の全身各所(頭部,胸部,骨盤部,上肢,下肢)の撮影を行ない,解剖前に画像所見の読影を行なった。 【結果】X線写真撮影により,以下の有用性が明らかになった。 1.身元不明死体の場合,該当者の生前の歯科X線写真と解剖前の頭部X線写真を比較することによって,身元が判明することがある。 2.高度腐敗または焼損死体において骨の形態から性別が判明することがある。 3.身長測定が困難な事例において,フィルム上の骨の長さを計測することにより身長推定が可能となることがある。 4.解剖では通常切開しない部位の手術材料など体内異物の存在が明らかになることがあり,個人識別の一助となる可能性がある。 5.解剖を行わない事例においても手術材料などの体内異物が同定できれば個人同定につながることがある。 【考察】ポータブルX線装置は他の画像診断装置に比較し安価かつ小型であるため既存の解剖室に容易に設置が可能である。この装置を使用した結果,X線写真により,解剖前に個人同定が可能となることがあり,解剖終了後,DNA検査等の結果を待たず,速やかに遺族に遺体を返還することができる。また,同日中に死体検案書の氏名欄を記載することができ,身元判明後の書類変更の手間が省ける。以上のことから,X線写真撮影は主に個人識別において大変有用であることが明らかとなった。
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