2006 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期の長期アルコール曝露が次世代の社会的機能障害に及ぼす影響
Project/Area Number |
18790423
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
嶋本 晶子 山口大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10379943)
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Keywords | 胎児性アルコール効果 / 神経性ステロイド / HPLC |
Research Abstract |
【緒言】胎児期の長期アルコール曝露(Fetal Alcohol Effect : FAE)は、成長過程における注意欠陥、多動性、学習、記憶障害などをもたらすことが知られている。一方で社会的機能を損なう恐れのある攻撃性との関係についての研究はほとんどない 【目的】本研究では、FAEが次世代の攻撃的行動に及ぼす影響を、実験動物を用いて検討した。近年上記の行動と深い関わりが注目されている神経性ステロイド、特にテストステロンに着目し、研究を進めた。 【平成18年度中に得られた結果】 1.神経性テストステロンの定量方法の開発 テストステロンを含む神経性ステロイドの脳組織からの定量方法は、RIAやGC-MSなど特別の施設や高度分析機器を用いた報告が主体であった。そこでテストステロンの定量を簡便に行えるように、最も一般的な分析機器である高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた脳内テストステロンの定量方法を確立した。すなわち0.2gの脳組織はメタノール中にてホモジナイズ後上清を蒸発乾固させ、固相抽出により爽雑物を取り除き、移動相に溶解した後UV検出器を用いたHPLCでピークを検出した。テストステロン及び内部標準物質である17α-メチルテストステロンの保持時間はそれぞれ9.8及び11.7分であった。相関係数は0.999以上、日内及び日間変動も良好な値を示した。検出下限界値は50pg、回収率はいずれも90%以上であった(Shimamoto A, et al.,J Chromatogr B,2006)。この定量方法を用いて以後の研究は行なわれた。 2.FAEが次世代の脳内テストステロン量に及ぼす影響 Lieber-DeCarliらの液体食給餌法により、妊娠期間中アルコールに曝露させたメスラットから出生した仔ラットは、3週齢において、アルコールの胎内曝露を受けなかった群に比べて、脳内テストステロン量が有意に高い値となった(P<0.01)。
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