2008 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性に対する和漢薬の効果とその作用機序の解明
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18790431
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤本 孝子 University of Toyama, 和漢医薬学・総合研究所, 助教 (70377266)
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Keywords | インスリン抵抗性 / 和漢薬 / 2型糖尿病 |
Research Abstract |
6種類の漢方方剤を用い、インスリン抵抗性に対する作用を比較検討した結果を基に、本年度は八味地黄丸と防已黄耆湯を対象とし、その作用機序を明らかにするためのデータを蓄積することを目的とした。近年の研究から脂肪組織は単に余剰エネルギーを中性脂肪として蓄えるだけではなく、種々のアディポサイトカインを分泌する重要な内分泌臓器であることが明らかとなり、その分泌異常により骨格筋や肝臓でのインスリン抵抗性が惹起されると考えられている。一昨年、昨年の研究から、和漢薬が脂肪組織中のアディポサイトカイン分泌に好影響を与える可能性を示唆する知見を得ている。このような背景から、Zucker fattyラットに八味地黄丸あるいは防已黄耆湯を4週間投与した場合の脂肪組織における遺伝子発現についてDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析することを試みた。非投与群との発現強度の比較を行った結果、2倍以上上昇、あるいは低下した遺伝子は八味地黄丸で43遺伝子に上昇、48遺伝子に低下が認められた。防已黄耆湯では90遺伝子に上昇、288遺伝子に低下が認められた。その中で、これら2方剤に共通する遺伝子も存在しており、上昇したものでは30遺伝子、低下したものでは3遺伝子が認められた。和漢薬の投与により脂肪組織における遺伝子発現が異なっており、これらの変化がインスリン抵抗性を増悪させる因子に対する八味地黄丸と防已黄耆湯の作用発現の相違に関与している可能性が示唆された。
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