2007 Fiscal Year Annual Research Report
更年期障害に用いられる漢方薬がエストロゲン減少に起因する脂質代謝異常に及ぼす影響
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18790434
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
坂梨 まゆ子 University of the Ryukyus, 医学部, 助教 (80363662)
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Keywords | 薬理学 / 循環器・高血圧 / 東洋医学 |
Research Abstract |
8週齢のWistar系雌性ラットに対して、卵巣摘出手術(OVX群)あるいは偽手術(Sham群)を施し、OVX群とSham群をさらに各々2群にわけ、一方には三黄瀉心湯エキス懸濁液150mg/mL(漢方薬投与群)を、他方には水(水投与群)を4週間強制経口投与した。ラットの体重を測定後、採血を行い、血清中の総コレステロール(Tcho)、中性脂肪、LDLコレステロール(LDL)およびエストラジオール(E2)を測定した。さらに本年度は、血漿中の窒素酸化物含有量の測定を行った。採血後のラットからは、心臓および胸部大動脈を摘出し、三黄瀉心湯投与が心血管機能に及ぼす影響を検討した。摘出心臓は、Langendorff灌流装置を用いて灌流し、30分間の虚血につづく60分聞の再灌流を行い、心機能を経時的に測定した。再灌流終了後に、左室自由壁を採取し、心筋高エネルギーリン酸化合物と無機リン酸の測定および過酸化脂質の指標としてマロンジアルデヒドの測定を行った。胸部大動脈は、摘出直後に液体窒素で凍結し、Western blot用のサンプルとして用いた。 実験の結果、本年度は、Sham群に比してOVX群での有意なE2の減少と体重増加が認められた。さらにOVX群において、三黄瀉心湯投与群では、水投与群に比してTchoおよびLDLの減少が認められた。摘出心臓の心機能において、左室拡張末期圧は、OVXおよびSham両群中の水投与群に比して三黄瀉心湯投与群で減少が認められた。心筋中のATPの含有量は、OVXおよびSham両群での水投与群に比して三黄瀉心湯投与群で増加が認められた。一方、無機リン、クレアチンリン酸およびマロンジアルデヒドの含有量には、有意な変化は認められなかった。血漿中の窒素酸化物含有量の測定結果と、Western blotの結果は、現在解析中である。
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