2006 Fiscal Year Annual Research Report
主治医による、がん患者の支持的ケアニーズについての認識に関する研究
Project/Area Number |
18790437
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
奥山 徹 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助手 (80349349)
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Keywords | がん / 緩和ケア / サイコオンコロジー / 抑うつ / 不安 / QOL / 症状 |
Research Abstract |
背景:がん患者は身体的にも心理社会的にも多くの負担を有しているが、それらに対する適切なケアが提供されていないのが現状である。 目的:主治医が、患者の支持的ケアに関するニーズをどの程度把握しているかを明らかにする。 方法:1.外来乳がん患者を無作為に抽出し、研究参加へのインフォームドコンセントを得た。2.患者に支持的ケアのニーズを評価するSupportive Care Needs Questionnaire、身体症状の程度を評価するEORTC-QLQ C-30、抑うつと不安を評価するHospital Anxiety and Depression Scaleの記載を依頼した。3.患者を診察した医師に対して、医師自身がその患者についてどのような症状やケアのニーズがあると感じたかを問う質問票の記載を依頼した。4.患者・主治医双方から得たデータを照らし合わせ、統計解析を行った。 結果:本報告書作成時点で304名の患者より有効なデータを得た。患者背景は女性100%、60歳未満66%、進行がん(III、IV、再発)24%であった。また調査参加一ヶ月以内に化学療法を受けた患者は18%であった。身体症状については、特に脱毛、下痢、嘔気、嘔吐などの化学療法に関する身体症状については、主治医によって適切に認識されていた。抑うつ、不安といった精神症状については、陽性的中率が20%以下と身体症状と比較して低く、評価が困難であることが示された。ケアのニーズについては、主治医は、身体的、精神的ケアのニーズがあると感じることは多いものの、患者との不一致率はともに約40%程度であり、患者自身によるニーズとは一致しがたいことが示された。 考察:主治医にとって、支持的ケアに関するニーズを把握することが困難であることが示された。それらの評価を援助するような介入が、患者のQOLを改善するために有用かもしれない。
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