2006 Fiscal Year Annual Research Report
Galectin-1を介した膵癌細胞-膵星細胞間相互作用の解明
Project/Area Number |
18790440
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊田 和宏 東北大学, 病院, 医員 (80420024)
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Keywords | 膵癌細胞 / 膵線維化 / 膵癌 / galectin-1 / 糖鎖 / desmoplastic reaction |
Research Abstract |
平成18年度は、(1)galectin-1の膵星細胞ならびに膵癌における発現、(2)組み換えgalectin-1処理による膵星細胞機能への影響、(3)アンチセンスgalectin-1導入による膵星細胞活性化指標に対する影響を、各々検討した。膵癌患者切除標本においてgal-1は膵癌細胞で弱く、周囲の間質で強く発現していた。その発現は核および細胞質の両方に認められた。ラットより分離された膵星細胞においてgalectin-1の蛋白およびmRNA発現は、分離翌日の未だ静止期にある細胞では認められなかったが、培養により活性化した2週間後の細胞では強く発現が認められた。免疫蛍光染色では、galectin-1発現は活性化膵星細胞の細胞質ならびに核に強く認められた。組み換えgalectin-1は濃度依存性に、膵星細胞の増殖を誘導した。この増殖誘導は、血小板由来増殖因子(PDGF)に比べると弱いものであった。Galectin-1は、ケモカインMCP-1とCINC-1、さらにコラーゲンの産生を誘導した。Galectin-1は細胞内シグナル系であるextracellular-signal regulated kinaseおよびNF-κBを活性化した。アンチセンスcDNA導入により不死化膵星細胞におけるgalectin-1発現は蛋白レベルで抑制された。空ベクターを挿入した細胞と比べて、アンチセンス導入細胞では、細胞の移動能が有意に抑制されていた。さらに、膵星細胞の活性化指標であるα-SMAならびにIII型コラーゲン遺伝子発現の抑制も認められた。一方、組み換えgalectin-1処理により、膵癌細胞増殖が誘導された。以上の結果より、galectin-1が膵星細胞の細胞機能および活性化をautocrine機序により調節している可能性が示唆された。
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