2008 Fiscal Year Annual Research Report
受容体型チロシンキナーゼを標的としたEGCG大腸発癌抑制の研究
Project/Area Number |
18790457
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
清水 雅仁 Gifu University, 医学部・附属病院, 助教 (90402198)
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Keywords | EGCG / RTK / 大腸癌 / 発癌予防 |
Research Abstract |
本研究は、緑茶カテキン(-)-Epigallocatechin gallate(EGCG)による癌細胞の増殖抑制効果について検討し、最終的には臨床の場において、緑茶カテキンによる大腸発癌予防を実践することを目的としている。我々は現在までの研究で、EGCGが腫瘍細胞から産生される増殖因子IGF-1/2の発現を抑制し、IGF-1/2のレセプターで受容体型チロシンキナーゼの一つであるIGF1-Rとその下流分子(ERK、Akt、Stat3)の活性を阻害することで、大腸癌および肝癌細胞にアポトーシスを誘導し、増殖抑制効果を発揮することを明らかにしてきた。IGF/IGF1-Rシステムの異常活性は、各種の肥満関連発癌に深く関与しているが、我々はEGCGが同システムの活性を阻害するとともに、高血糖・高インスリン血症・高脂血症・高レプチン血症を改善することで、肥満マウス(db/dbmice)の大腸化学発癌を抑制することも明らかにした。またEGCGが腸管の炎症を改善し、COX-2や種々の炎症性サイトカインの発現を抑制することで、DSS/AOM誘発による腸炎関連大腸化学発癌を抑制することも報告した。一方、我々は臨床試験において、緑茶抽出物であるGTEのsupplementation(1.5g/day)が、内視鏡的切除術後の大腸腺腫の異所性再発を有意に抑制することも明らかにした。受容体型チロシンキナーゼの異常活性、肥満、慢性炎症は、大腸や肝発癌における重要なrisk factorであることより、EGCGがこれら肥満および腸炎関連大腸発癌を抑制したこと、またGTEが大腸前癌病変である腺腫の発生を抑制したことは、今後、EGCGやその他の(緑)茶抽出物を用いた大腸および肝発癌予防の可能性を考える上で、重要かつ有意義な結果と考えられた。
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