2006 Fiscal Year Annual Research Report
慢性C型肝炎におけるオートファジーの生理学的意義の解明
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18790475
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山科 俊平 順天堂大学, 医学部, 講師 (30338412)
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Keywords | C型肝炎 / オートファジー |
Research Abstract |
肝組織内におけるオートファジーと肝炎症・繊維化の検討 C型慢性肝炎患者10症例より肝組織を採取し、電子顕微鏡下の組織観察を行った。C型肝炎症例では肝細胞の細胞質100μm2あたりにオートリソソームが4.7±0.28個認められ、通常の肝細胞ではオートリソソームの検出が困難であることを考慮するとC型肝炎ウイルスが感染した肝細胞ではオートファジーが誘導されると考えられた。また肝炎症や肝線維化との相関の検討では肝炎症が強く肝線維化が強いほどオートリソソームの細胞質発現が増加する傾向にあったが、統計的に有意な所見を得るには検体数がまだ少ない状況であった。インターフェロン感受性なども含め、さらに症例を集める必要があると考えられ、19年度も引き続き検討を行うこととした。 オートファジー抑制薬と抗ウイルス効果の検討 リソソームやオートファジーにおける蛋白分解を阻害する作用を有する抗マラリア薬クロロキンの抗ウイルス効果をin vitro実験系(HCVレプリコン導入細胞)にて検証した。クロロキン1×10^<-5>MをHCVレプリコン導入細胞に添加すると18時間後には細胞質にオートリソソームが約13倍に蓄積した。クロロキンの蛋白分解阻害によりオートリソソームが自己融解せずに細胞質内に貯留したものと考えられた。またクロロキンは濃度依存的にHCVレプリコンの複製を抑制し、50%細胞毒性濃度(IC50)は3.6×10^<-5>Mで、50%効果濃度(EC50)は2.2×10^<-7>Mであった。クロロキンとインターフェロン(IFN)の同時添加はIFN単独添加と比較して有意にレプリコン複製を阻害し、7日間のIFN単独処理ではレプリコンが21日後に再複製してくるのに対しクロロキンを併用するとレプリコン複製の消失が維持された。クロロキンは抗ウイルス作用を有し、さらにIFNの抗ウイルス作用を増強する事が明らかとなった。
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