2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790483
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
吉田 隆文 Kurume University, 医学部, 助教 (30368899)
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Keywords | サイトカインシグナル伝達 / 肝炎 / 肝癌 / 終末糖化産物 |
Research Abstract |
我々はこれまでにサイトカインシグナル伝達の主要な経路であるJAK-STAT系とRas-MAPキナーゼ系経路に対する抑制因子SOCSとSpredの肝炎、肝癌における役割の検討を行ってきた。臨床検体やノックアウトマウスを用いた解析により、SOCS遺伝子のメチル化による発現低下とこれによるJAK-STAT経路の異常活性化が肝線維化、肝発癌を起こすことを解明した。また、肝癌の悪性化にSpredの発現低下とRas-MAPキナーゼ系の異常活性化が関与していることを解明し新しい治療の可能性を発見した。近年、肥満や糖尿病の存在が肝硬変、肝癌の増悪の原因であることがわかってきているが、肥満や糖尿病が肝硬変、肝癌におけるサイトカインシグナル伝達にどのように関与しているかは不明である。肥満、糖尿病の患者血清中では終末糖化産物(Advanced end glycation products : AGE s)が蓄積されていることがわかっており、この終末糖化産物(AGE s)と生活習慣病の発症には重要な関連があることが判明してきている。そこでまず、終末糖化産物(AGE s)による肝細胞、肝癌細胞におけるサイトカインシグナル伝達への影響を検討した。終末糖化産物(AGE s)によりRas-MAPキナーゼ系やNF-kB経路の活性化を起こし、肝臓での炎症の増悪に関与していることを明らかにした。さらに、網膜色素上皮由来因子(PEDF)の抗酸化作用に着目し、網膜色素上皮由来因子(PEDF)によって炎症性サイトカインや終末糖化産物(AGE s)による肝炎、脂肪肝の抑制の可能性を明らかにした。今後、肝炎、肝癌患者における網膜色素上皮由来因子(PEDF)の動態などを検討し、臨床的なマーカーや治療標的としての応用を目指す。
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Research Products
(2 results)