2006 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス制御による心不全における運動能力改善を目指した新規治療法の開発
Project/Area Number |
18790487
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
絹川 真太郎 北海道大学, 大学院医学研究科, リサーチレジデント (60399871)
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Keywords | 心不全 / 運動能力 / 酸化ストレス / ミトコンドリア呼吸能 / 小動物用トレッドミル |
Research Abstract |
マウスの冠動脈を結紮することにより心筋梗塞を作成した。心筋梗塞マウスは偽手術マウスに比し、左室径の拡大、梗塞部心筋の菲薄化および非梗塞部心筋の肥大を認め、左室短縮率は低下した。体血圧、心拍数に変化を認めなかったが、左室拡張末期圧の上昇および肺重量の増加を認めた。また、マッソン-トリクローム染色をほどこした心臓組織切片で測定した梗塞サイズは40%から45%であった。したがって、今回のモデルで心筋梗塞後、心筋リモデリングおよび心不全を呈することが確認された。 次に小動物用トレッドミルを用いて、心筋梗塞マウスおよび偽手術マウスの運動能力測定および呼気ガス分析を行った。いずれのマウスも疲労するまで運動することが可能であり、最大酸素摂取量を測定することができた。心筋梗塞マウスでは偽手術マウスと比較して、疲労までの仕事量が低下していた。この時、最大酸素摂取量の低下を伴っていた。同様に最大二酸化炭素産生量も低下しており、呼吸交換比は変化がなかった。 さらに、酸素電極を用いて摘出骨格筋ミトコンドリアの酸素消費を観察した。トレッドミル運動における主要な作動筋である下肢骨格筋を取り出し、ミトコンドリアを単離した。心筋梗塞マウスのミトコンドリアでNADHを基質としたADP依存性酸素消費速度(State3)が低下していたが、ADP非依存性酸素消費速度(State4)は変化がなかった。一方、FADH2を基質とした酸素消費はいずれも変化がなかった。また、骨格筋重量は変化がなく、骨格筋組織学的検討では骨格筋細胞や間質の形態に明らかな変化を認めなかった。また、ルシジェニン化学発光法を用いて、心筋梗塞後マウスの下肢骨格筋で酸化ストレスが増加していることを確認した。 心筋梗塞後心不全マウスの運動能力低下および骨格筋ミトコンドリア障害に酸化ストレスが関与していると考えられた。
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