2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管壁石灰化の分子機序_血管平滑筋細胞は骨芽細胞に分化するか?
Project/Area Number |
18790489
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 浩子 群馬大学, 医学部, 助手 (50396652)
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Keywords | 循環器 / 発生分化 / 遺伝子 |
Research Abstract |
われわれは塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)が血管平滑筋細胞の分化を抑制し、骨分化マーカーであるオステオポンチン(OPN)、オステオカルシシン(OCN)の遺伝子発現を誘導することを見出した。骨分化のマスター遺伝子であるCbfa1の血管平滑筋細胞における役割を明らかにするため、Cbfa1発現アテノウィルス(Ad-Cbfa1)血管平滑筋細胞へ感染させCbfa1を過剰発現させた。Cbfa1の過剰発現によりヒト培養血管平滑筋細胞においてOPN、OCNの骨分化マーカーの遺伝子発現が誘導され、一方でSM alpha-actin, SM22-alphaなどの平滑筋分化マーカーの発現は抑制された。以下よりCbfa1が血管平滑筋細胞を骨芽細胞に変換させる可能性が示唆された。ALP染色、コッサ染色では、Cbfa1の過剰発現により、培養血管平滑筋細胞の石灰化は促進されなかった。このことから、Cbfa1は血管平滑筋細胞の最終的な骨分化への促進作用はないことが示唆された。また血管平滑筋細胞において、bFGFがCbfa1を調節するか否か調べるために、bFGFによる、Cbfa1遺伝子・蛋白誘導の有無をPT-PCR、ウェスタンブロットで、Cbfa1蛋白の標的遺伝子への結合能促進の有無をOPNプロモーターのCbfa1結合部位をプローブとしたゲルシフトアッセイで検討した。結果、bFGFによりCbfa1遺伝・蛋白の誘導は促進されないが、Cbfa1蛋白の標的遺伝子への結合能は促進されることが示唆された。また、OPN、OCNのプロモーターを用いたルシフェラーゼアッセイでの検討により、bFGFとCbfa1が協調して骨分化マーカー遺伝子の転写を活性化することが示唆された。SiRNAによる血管平滑筋細胞のCbfa1遺伝子の機能損失実験により、bFGFによるオステオポンチン遺伝子の発現誘導が一部の抑制された。このことからbFGFによる骨分化マーカーの発現誘導の一部にCbfa1が関与することが示唆された。以上、平成18年度までに血管平滑細胞の骨芽細胞様分化における、bFGFとCbfa1の役割を検討した。
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