2008 Fiscal Year Annual Research Report
SCN5A遺伝子異常陰性のブルガダ症候群における遺伝子異常の同定と機能解析
Project/Area Number |
18790496
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
伊藤 英樹 Shiga University of Medical Science, 医学部, 助教 (30402738)
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Keywords | Brugada症候群 / 遺伝子 / チャネル / SCN5A / KCNH2 |
Research Abstract |
前年までの検討で、ブルガダ心電図症例に新たに遅延性整流性カリウムチャネルの遺伝子(KCNH2)変異を見出したことからさらに検索を継続した。その結果、新たな変異をさらに見出した。このR164C/KCNH2変異は今までに報告のない変異で、哺乳類培養細胞を用いた検討では野生型のチャネルの約1.4倍の電流量であり、いわゆるgain of function型の変異であった。さらにブルガダ心電図症例をSCN5A遺伝子陽性群、KCNH2遺伝子変異陽性群、変異を認めない群の3群に分類すると、KCNH2遺伝子変異陽性群では有意に他の2群よりQTc間隔は短縮していた(KCNH2変異群、SCN5A変異群、その他 ; 355±15、421±37、411±36ms, p<0.008)。またKCNH2遺伝子変異陽性例はすべて無症状であり、ブルガダ心電図をしめす症例において、臨床症状の重症度においてその責任遺伝子は異なることが示唆された。Widersら(1)は我々が見出した変異の機能解析から心筋活動電位をシミュレーションした結果、これらのブルガダ心電図症例に見いだされるKCNH2遺伝子変異はQT間隔の短縮だけではなく、ブルガダ心電図そのものの原因となっていることを報告しており、遅延性整流性カリウムチャネルの遺伝子異常がQT間隔の短縮を伴うブルガダ心電図に関与していることが考えられた。(1) Wilders R, Verkerk AO. Role of the R1135H KCNH2 mutation in Brugada syndrome. Int J Cardiol 2009, in press.
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