2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストン脱アセチル化酵素SIRT1の細胞内局在の調節と心不全治療への応用
Project/Area Number |
18790505
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
丹野 雅也 札幌医科大学, 医学部, 助手 (00398322)
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Keywords | 心不全 / ヒストン脱アセチル化酵素 / 細胞内局在 / 酸化ストレス / 細胞死 |
Research Abstract |
NAD^+依存性ピストン脱アセチル化酵素Sir2は酵母や線虫で長寿をもたらす。本研究ではほ乳類のホモログであるSIRT1の心不全での機能について検討し、一部の結果を既に報告した(J Biol Chem,2007)。 (1)SIRT1の不全心での細胞内局在 正常対照成体心ではSIRT1は主に細胞質に分布したが、ラット心筋梗塞後や拡張型心筋症のモデルであるTO-2ハムスターおよび剖検で得たヒト拡張型心筋症患者の不全心では核に局在するSIRT1の割合が有意に増加していた。 (2)SIRT1の細胞内局在変化の機序 ヘテロカリオンアッセイにてSIRT1の核細胞質問シャトルを証明した。また、シャトルに寄与するSIRT1の核移行シグナル(NLS)、核外移行シグナル(NES)を同定した。 (3)核局在するSIRT1の機能 EGFPにて標識した野生型SIRT1(WT)を作成しC2C12骨格筋芽細胞に導入したところ、核のみに局在した。さらに、核移行シグナルに点変異を挿入することにより細胞質に局在するよう改変した変異体(mtNLS)を作成した。WT(核型)あるいはmtNLS(細胞質型)をC2C12細胞に導入し細胞死を解析することにより、核に局在するSIRT1のみが酸化ストレスによる細胞死を抑制することがわかった。 (4)SIRT1が酸化ストレスによる細胞死を抑制する機序 WT(核型)およびmtNLS(細胞質型)をC2C12細胞に導入し内因性の酸化ストレス消去酵素の発現レベルを解析したところ、WT(核型)を導入した場合のみMnSODの発現が亢進した。またsiRNA法でMnSODの発現を抑制すると細胞死の抑制効果が消失した。 (5)SIRT1の細胞内局在を制御する機構 次にNLSおよびNESの機能の修飾にリン酸化が関与する可能性について検討し、PI3K/Akt活性がSIRT1の核移行を促進することを見いだした。
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Research Products
(1 results)