2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790506
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
常松 尚志 横浜市立大学, 医学部, 客員研究員 (70347300)
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Keywords | アデニル酸シクラーゼ / 自律神経機能 / 微小重力 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
[目的]自律神経機能を遺伝子レベルで改変したマウスを微小重力下におくことで、微小重力下における自律神経機能を解明することである。[方法]5型のアデニル酸シクラーゼ(AC5)を欠損させたマウス(AC5KO)と心臓に過大発現させたマウス(AC5TG)に体内型心電図送信器を埋め込み、心電図記録を取得しコンピュータソフトウェア上で解析を行った。微小重力を再現するため、航空機にマウスを載せパラボリックフライト(PF)を行った。平均心拍数、SDNN(RR間隔の標準偏差)および自律神経指標のためパワースペクトラム解析によりLF/HF(交感神経指標),nHF(副交感神経指標)を計測した。データの比較は二元配置分散分析およびTukeyの多重比較検定を用いた。[結果]心拍数はAC5KOおよびAC5TGにおいて野生型に比べ有意に高かった。微小重力によって交感神経機能は低下し、副交感神経機能は亢進した。これらの変化はAC5を欠損することにより消失した。[考察]心拍数はPFに入った直後から低下がみられ、その後安定化する傾向であった。この変化は野生型およびAC5TG型で認められたが、AC5KO型では認められなかった。また微小重力下においては交感神経機能が低下し副交感神経機能が亢進することが示され、この変化はAC5KOマウスにおいては完全に消失した。これはAC5が微小重力下における自律神経機能に必須のものであることを示唆する結果である。またAC5TGに関しては微小重力まではWTとほぼ同じ動向を示したが、その後の変化はさらに遷延することが示された。これは自律神経がAC5を過大発現させることにより過敏に反応することを示唆している。
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