2007 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群の心筋血管新生における可溶性血管内皮増殖因子受容体2の役割
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18790521
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
和田 啓道 Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center, 京都医療センター臨床研究センター, 先端医療技術開発研究室長 (20416209)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 血管新生 / 可溶性血管内皮増殖因子受容体2 / 肥満 / 減量 / 危険因子 / 喫煙 / バイオマーカー |
Research Abstract |
我々はメタボリックシンドローム(MS)において可溶性血管内皮増殖因子(VEGF)受容体solubleVEGFR-2(sVEGFR-2)の血中レベルが有意に上昇していることを見出した。血中sVEGFR-2レベルはBMI,中性脂肪,高感度CRPと正の相関を,アディポネクチンとは負の相関を示した。血中sVEGFR-2レベルの上昇が心筋梗塞に及ぼす影響を検討するため,マウスに心筋梗塞を作成し,直後から合成sVEGFR-2蛋白を1週間持続投与した。1週間後の梗塞周囲血管密度を測定し,3週間後に心エコーを施行した。その結果,sVEGFR-2投与群においては血管密度が有意に低下おり,心機能も有意に低下していた。すなわち,sVEGFR-2の血中レベル上昇が虚血心筋における内因性血管新生能を低下させ,心機能を低下させることが明らかとなった。次にMS及び2型糖尿病モデルである24週齢のOLETFラットと対照であるLETOラットの血中sVEGFR-2レベルを測定したところOLETFラットで有意に上昇していた。この上昇はスタチンとアンギオテンシン変換酵素阻害剤の併用で有意に低下した。臨床レベルで肥満男性におけるライフスタイル改善(食事・運動療法)のsVEGFR-2への影響を検討したところ,減量成功群でsVEGFR-2レベルは有意に低下した。すなわち減量による心血管リスク軽減にsVEGFR-2が関与している可能性が示唆された。さらにMSの危険因子であり尚かっ虚血性心疾患の危険因子である喫煙のsVEGFR-2に対する影響を検討した。喫煙男性と非喫煙男性のsVEGFR-2レベルを比較したところ,喫煙男性で有意に上昇していた。すなわち,喫煙による心血管リスクの上昇にsVEGFR-2が関与している可能性が示唆された。以上からsVEGFR-2が心血管リスクの新たなバイオマーカーになる可能性が示唆された。
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