2006 Fiscal Year Annual Research Report
アディポネクチンの慢性心不全改善効果に関する基礎検討とその治療を目指した臨床応用
Project/Area Number |
18790522
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
浅沼 博司 国立循環器病センター(研究所), 循環動態機能部心臓動態研究室, 流動研究員 (20416217)
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Keywords | 循環器内科学 / 心臓病態学 / 心不全 / アディポネクチン / 臨床応用 |
Research Abstract |
大動心不全モデルにおけるアディポネクチンの関与 1.ペーシング心不全モデルにおけるアディポネクチンの関与(n=8) ビーグル成犬を240/分で4週間ペーシングを行い、ペーシング前(前)とペーシング4週間後(後)の心拍数、血圧、スワンガンツカテーテルを用いて肺動脈圧、肺動脈楔入圧、右房圧および心エコー法で左室拡張末期径、左室収縮末期径、左室短縮率を計測し、さらに血中アディポネクチンレベルの測定を行った。心拍数(前:127±12→後:130±7/分)および平均血圧(前:102±5→後:106±4mmHg)は変化しなかったが、平均肺動脈圧(前:15±2→後:26±3mmHg,p<0.01)、肺動脈楔入圧(前:9±1→後:20±2mHg,p<0.01)および右房圧(前:5±1→後:10±1mmHg,P<0.01)は上昇した。さらに左室拡張末期径(前:30±1→後:36±1mm,p<0.01)および左室収縮末期径(前:20±1→後:33±1mm,p<0.01)は拡大し、左室短縮率(前:35±1→後:10±1%,p<0.01)は低下した。また、血中アディポネクチンレベル(前:34±5→後:24±4μg/ml,p<0.05)は低下した。 2.陳旧性心筋梗塞心不全モデルにおけるアディポネクチンの関与(n=5) ビーグル成犬の冠動脈左前下行枝を結紮することで、陳旧性心筋梗塞モデルが作成される。かかるモデルにおいて梗塞前(前)と、梗塞4週間後(後)に、ペーシング心不全モデルと同様の検討を行ったところ、ペーシング心不全モデルと同様に血中アディポネクチンレベル(前:39±10→後:25±7μg/ml,p<0.05)は低下した。 心不全は非虚血性心不全および虚血性心不全に大別されるが、今回の検討により、血中アディポネクチンは心不全の原因にかかわらず、低下することが明らかになった。
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