2007 Fiscal Year Annual Research Report
内因性NOによる生理的および病的条件下での気道電解質分泌における調節機構
Project/Area Number |
18790526
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
玉田 勉 Tohoku University, 高等教育開発推進センター, 助教 (80396473)
|
Keywords | 気道粘膜下腺 / パッチクランプ / ACh / Nitric Oxide / NOS / cGMP / PKG |
Research Abstract |
昨年度に引き続き気道分泌腺の電気生理学的特長の実験は物理的および酵素的に単離したブタ気道粘膜下腺を用いた。細胞表面に刺入した微小ガラス電極で感知される電気信号を特定のイオン電流として記録した。統計学的処理に十分なデータ数を得るために昨年同様繰り返し行い細胞内NOがイオン電流を増強する方向に寄与していることを確認した。 気道分泌腺細胞内でのNOの合成を確認するため、NO特異的蛍光発色基質であるDAF-2DAを用いた。単離細胞を低濃度ACh(100nM)で刺激することによりその発色の程度から経時的にNOの合成が観察された。合計7細胞塊から同様に時間依存性に発色強度が増強することが確認された。平均すると刺激前に比べて約2.3倍増加することが分かった。細胞内NOの産生量を推測するために、既知のNO濃度が設定できるNOドナーを用いて同様に測定した。NOC-5は1分子から2分子のNOを放出しその半減期は10数分と比較的短いためこれを用いた。その結果、100nMのAChによる発色強度は0.5μMのNOC-5による発色強度と10μMのNOC-5による発色強度の中間であることが判明し、これらから細胞内NO合成量は数μM程度であると推測された。これは血球成分や脳神経細胞内の既知の合成量(2-30μM)とほぼ一致しており、生理的範囲内で妥当な値であることも確認できた。さらに、このNO産生はカルシウムイオノフォアであるイオノマイシンでも同様に認められたことから細胞内カルシウム濃度上昇に依存していることも確認できた。さらに2種類のNOS阻害剤(非特異的な阻害剤であるL-NAMEとnNOS特異的な阻害剤である7-NI)であらかじめ前処置しておくとACh刺激下でも発色強度が上昇せず、L-arginineを上乗せして初めて発色強度が上昇し始めることも確認され、細胞内NOS、特にnNOSの活性化を介していることも明らかにされた。 今年度は以上の研究成果をまとめ、アメリカ呼吸器学会機関誌に報告し掲載された。
|