2006 Fiscal Year Annual Research Report
ブレオマイシン肺線維症モデルにおける分子標的治療薬の抗線維化効果の検討
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18790538
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
青野 純典 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (50398004)
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Keywords | 肺線維症 / ブレオマイシンモデル / イマチニブ / AGP / エリスロマイシン / 抗線維化薬 |
Research Abstract |
ブレオマイシンモデルマウスに対しimatinibが抗線維化効果を示すことはすでに報告している。 1.ブレオマイシンモデルにおけるimatinib前半投与と後半投与における抗線維化効果 ブレオマイシン投与後の前半2週間と後半2週間に分け、imatinibを投与したところ、前半投与群では抗線維化効果を認めるも後半投与群では十分な抗線維化効果は認められなかった。 前半投与が抗炎症効果を、後半投与が抗線維化効果を反映すると考える傾向にある。このことからimatinibの抗線維化効果に疑問がもたれた。 2.Imatinib後半投与の耐性メカニズムの解明 後半投与群におけるimatinib耐性メカニズムを解明するために炎症性蛋白であるAGPに着目し、ブレオマイシンモデルにおいAGP高値を確認した。AGPのimatinibへの結合による拮抗作用によりimatinibの耐性メカニズムが予測され、まずin vitroにおいて検討した。 肺線維芽細胞において、PDGF刺激による増殖反応をimatinibが抑制し、さらにAGPを加えることによりその抑制作用は阻害された。 3.AGPのimatinibに対する拮抗作用の解除 AGPによる耐性を解除するために、AGPと結合することにより、その拮抗作用を抑制できるエリスロマイシンに着目した。さきほどの肺線維芽細胞の増殖反応において、さらにエリスロマイシンを加えることによりAGPによる拮抗作用を解除した。 4.In vivoにおけるエリスロマイシン併用によるimatinib後半投与の抗線維化効果 ブレオマイシンモデルに対しimatinib後半2週間投与にエリスロマイシンを併用することにより有意な抗線維化効果を認めた。 5.特発性肺線維症患者におけるAGP 特発性肺線維症患者においても血清中のAGP高値を認めた。 以上により特発性肺線維症患者に対するimatinibの抗線維化薬としての臨床応用を検討する際にはエリスロマイシンの併用が望ましいと考えれた。
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