2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790543
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
平野 綱彦 Wakayama Medical University, 医学部, 助教 (00382333)
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 窒素化ストレス / ニトロタイロシン / HPC / ECD法 / 喀痰 / テオフィリン / 酸化ストレス / 精密定量法 |
Research Abstract |
本年度は昨年度より引き続き、実際に人において薬剤による窒素化ストレスの制御がCOPDの気道炎症を改善すると仮定し、クロスオーバースタイルにてCOPD患者にテオフィリンを4週間投与し、症例の集積を行った。窒素化ストレスの測定に関して、誘発喀疾の細胞成分を用いた従来の免疫組織学的な検討に加え、喀疾の上清成分を用いたHPLC/ECD法による定量的な検討もあわせて行った。エントリー数は16例で、テオフィリン投与により誘発喀疾中の炎症細胞数は有意に減少し、その減少した細胞の8割程度を好中球が占めていた。窒素化ストレスに対する効果については、まず免疫染色による検討を行い、テオフィリン投与により気道中のニトロタイロシン陽性細胞が減少すること、つまり、COPD気道においてテオフィリンは窒素化ストレスを改善させる効果をもつことが示された。次に本研究課題である酸化ストレスの精密測定システム(HPLC/ECD法)を用いて、誘発喀疾上清中の蛋白結合3編ニトロタイロシンの精密定量測定を加えた。その結果テオフィリン投与によりタイロシンに占める窒素化の比率が有意に減少していることが示され、精密な定量法においてもテオフィリンが窒素化ストレス改善効果を持つことを示した。またテオフィリンによるCOPD気道での窒素化ストレス減少程度は好中球浸潤抑制程度と相関し、両者の因果関係が示唆され、同薬剤がCOPDの新たな抗炎症薬となる可能性があると考えられた。今後は本システムを用いてCOPDの気道・肺炎症に関連する原因物質を特定し、その病的意義及び特異的に制御しうる薬剤の検証をすすめて、COPDの病態解明・治療効率の向上へ寄与できると考えられる。
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