2006 Fiscal Year Annual Research Report
誤嚥性肺炎における抗炎症性脂質メディエーター、リポキシンの役割と有用性の検討
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18790549
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
福永 興壱 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60327517)
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Keywords | 呼吸器病学 / 誤嚥性肺炎 / 抗炎症性脂質メディエーター |
Research Abstract |
誤嚥性肺炎における抗炎症性脂質メディエーターの役割、有用性について研究を進めているが、本年度は評価系の基盤となる誤嚥性肺炎マウスモデルの作成を行った。 7週齢雄C57BL/6Jマウスに塩酸(pH=1.5,0.1N,50μl)を左肺選択的に投与、その後0〜72時間後に同じく左肺選択的にE.Coliを投与して肺傷害を惹起した。E.Coli1投与24時間後に肺、脾臓、血液をマウスより採取し、肺、脾臓はhomogenizeを行い、それぞれ適宜希釈したサンプルをagarplate上で12時間培養し、colony forming units(CFU)を検討した。これにより塩酸肺傷害後生菌が肺内あるいは肺外臓器に経時的にどのように分布するかを検討することで、塩酸肺障害肺のクリアランス機能の評価を行うこととした。最初にE.Coli投与量の検討を行った。細菌投与量を10^5 colonies/mouseならびに10倍量である10^6 colonies/mouseで投与を行ったところ、10^6 colonies/mouse投与群では細菌投与12時間後に75%マウスの死亡を認めたため、評価に適さないと判断し投与量を10^5 colonies/mouseとした。塩酸肺障害程度により肺内菌増殖の程度を観察したところ、塩酸投与2時間、12時間後E.Coli投与時に菌量が有意に増殖し(E.coli output/input:108.89±6.67 v.s. 0.03±0.03;2h,40.0±18.5 v.s. 0.03±0.02;12h)48時間後ではほぼ菌がクリアランスされていることがわかった(0.27±0.07 v.s. 0.03±0.03)。また同様に塩酸投与2、12時間においては脾臓、血液中にも肺から播種した菌を認めた。このことから塩酸投与により、2時間、12時間後では細菌に対する保護機能が破壊により細菌の播種→敗血症となる可能性が示唆され、この状態の回復を促進することが本病態における治療につながると考え、本モデルを用いて今後抗炎症性脂質である脂質メディエーターの投与による評価を行う予定である。
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