2007 Fiscal Year Annual Research Report
腎不全におけるFetuin-Aのもたらす心、血管への影響とピスフォスフォネート
Project/Area Number |
18790564
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
濱野 高行 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (50403077)
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Keywords | 慢性腎不全 / 血管石灰化 / Fetuin-A / Fetuin mineral complex / Bisphosphonate |
Research Abstract |
アデニン腎不全モデルラットは腎機能の低下に伴い血管石灰化が高度になり、Fetuin-Aの肝臓での産生が著しく低下した。しかし血中でのFetuin-Aの低下は非常に軽微であった。ここで我々はFetuinmineralcomplex(FMC)に注目し、各血清を遠心処理することで分離可能な血中FMCが、腎機能低下に伴い徐々に増加していることを、質量分析を用いることでつきとめた。腎不全における血管石灰化に対して血中FMCは重要な役割を果たしていることが予想され、引き続き石灰化とFMCの関係を明らかにすべく、アデニンラットにalendronateによる治療介入を行った。すると治療群では有意に血管石灰化が改善したが、肝臓でのfetuin-Aの産生も血中のtotalfetuin-A濃度にも差を認めなかった。しかし治療群においては、血清中のtotalfetuin-AのうちFMCの占める割合は非治療群に比し著しく減少していた。つまり血管石灰化ストレス下では、血中のFeuin-Aは石灰化の担体であるCa,リン,Mgを取り込むことでFMCを形成し血管石灰化に対して保護的に働いている可能性が示された。腎不全のヒト血清においても、ラットと同様の方法でFMCを分離することに我々は成功した。さらにELISAによる血中Fetuin-A濃度の検討では血清を遠心することで濃度が有意に低下しており、ヒトELISAkitはFMCとそれ以外のfreeのFetuin-Aをともに測定していることが分かった。約100名の保存期糖尿病性腎症の患者では、冠状動脈石灰化指数は、totalfetuin-Aの濃度とは全く有意な関係はなかったが、FMCとは有意な正の相関、freefetuin-A濃度とは有意な負の相関関係があった。このことより、fetuin-Aの存在様式をみることで、血管石灰化ストレスを評価できることが示唆された。
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Research Products
(4 results)