2006 Fiscal Year Annual Research Report
腹膜透析療法における遺伝子診断システムを用いた腹膜機能評価法の開発と有用性の検証
Project/Area Number |
18790568
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
濱田 浩幸 九州大学, 大学院農学研究院, 助手 (80346840)
|
Keywords | 生体生命情報学 / 人工透析学 / 遺伝子診断 / 腹膜透析 / 腹膜機能 |
Research Abstract |
慢性腎不全患者の対症療法の1つである連続歩行可能腹膜透析療法(Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis : CAPD)患者の処方計画の設計および治療モニタリングの簡便化を支援する診断システムを開発するため、以下の項目について研究開発を実施した。 1.腹膜機能を定量的に評価する指標の構築 腹膜透析療法の物質移動機序のうち主に拡散輸送に依存して腹膜を透過する小分子(尿素およびクレアチニン)の総括物質移動・膜面積係数(overall Mass Transfer Area Coefficient : MTAC)を高精度に推定する同時数値最適化技術を開発した。そして、尿素とクレアチニンのMTACの比(MTACu/c)が除水量および透析量と良好な相関を示し、腹膜の物質透過の選択性を良好に反映することを確認した。MTACu/cは患者の腹膜機能を定量的に評価し、遺伝子発現量の統計解析において従属変数として適用可能であることが示唆された。 2.遺伝子発現データを解析するソフトウェアの開発 一般的なクラスタリング解析に適用されているFuzzy k-means法とGath-Geva法を用いて、遺伝子発現データを解析するソフトウェアを開発した。遺伝子発現データのテストデータを用いてこれら2つの手法のクラスタリング性能を比較した。Fuzzy k-means法は、Gath-Geva法に比して安定した解析能を示した。したがって、遺伝子発現データの解析には、Fuzzy k-means法が有用であることが示唆された。 3.遺伝子の抽出法の構築 Fuzzy k-means法により分類した遺伝子群のメンバーの移動とMTACu/cを基準にした腹膜機能の変化の関係を検証し、腹膜透析患者の処方計画および治療モニタリングに有効な遺伝子を抽出する方法を構築した。
|