2006 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症のイオンチャネル機能障害と神経細胞死に関する生理学生物学的研究
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18790587
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金井 数明 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (10375751)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 軸索膜興奮性測定 / イオンチャネル / 後天性チャネロバチー / 神経細胞死 / エネルギー代謝不全仮説 |
Research Abstract |
1.ヒト筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者における運動神経軸索膜興奮性の変化と、それにより推定されるイオンチャネル機能変化を病期ごとにまとめ、その結果、ALS患者では進行性にKチャネル機能が低下する一方、病初期においてめみNaチャネル機能が亢進していることを明らかとした。また、進行期となると神経軸索膜は脱分極傾向を示すことも明らかとなった。進行期に軸索膜が脱分極傾向を示すことはこれまでのALSでの病態仮説のうちのミトコンドリア機能異常とそれに伴うエネルギー供給不全仮説との関連を示唆するもので、興味深い結果と考えられた。この結果から推定されるイオンチャネル機能異常と神経細胞変性との関連についてBrain誌で公表した。 2.ALS患者で認められる上記のような変化は、運動神経軸索の終末部でより顕著であることを明らかとした。この結果はALSの病態仮説のうち軸索輸送障害仮説と一致する所見で、興味深い結果と考えられた。この結果についてはClinical Neurophysiology誌に公表した。 3.マウスモデルにおける運動神経軸索膜興奮性の測定系を確立し、その成果の一部を第28回国際神経生理学会(エジンバラ、英国)で発表した。またその学会が行われた際、エジンバラにて運動神経軸索膜の興奮性測定について共同研究を行っている国立神経研究所Sobell Department of NeurophysiologyのHugh Bostock教授と意見交換を行った。 4.研究で得られたマウス運動神経軸索の興奮性測定とそれによるイオンチャネル機能変化の測定系を用いて、他大学との共同研究を行い、細胞表面のガングリオシド欠損を生じる遺伝子改変マウスの軸索膜興奮性の評価を行い、このモデルマウスでNaチャネル機能障害が生じていることを明らかとし、共著の形でGlia誌に公表した(現在in press)。
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Research Products
(3 results)