2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性運動失調マウスを用いたCa-ATPase遺伝子の神経特異的発現機構の解析
Project/Area Number |
18790592
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
孫 暁陽 名古屋大学, 大学院医学系研究科, COE研究員 (70378016)
|
Keywords | joggleマウス / plasma membrane calcium ATPase / レトロトランスポゾン / クローニング / 疾患モデル / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
遺伝性に運動失調を呈するjoggleマウスの原因遺伝子としてplasma membrane calcium ATPase(PMCA)2を同定し、joggleマウスでその発現が低下するメカニズムを検討した.その結果、IAP(intracisternal A particle)レトロポゾンがPMCA2遺伝子中に挿入されていることを明らかにした. ノーザンブロット法解析の結果、JoggleマウスでのPMCA2 mRNAの発現量は野生型の5%であった.Joggleマウスで発現しているPMCA2遺伝子をクローニングし塩基配列を検討した結果、翻訳開始コドンを含むエキソンのスプライシングドナー部位の15塩基下流にIAP配列が挿入されていた.また、RT-PCRによってPMCA2遺伝子の5'側とIAPを含んだキメラmRNAが検出された.このことは一次転写産物中にIAPのロングターミナルリピートのポリAシグナルで終始しているものがあることを示している.さらに、PMCA2一次転写産物がnonsense mediated of mRNA decayによって分解されてうる新たなスプライス部位が挿入されたIAPをもつことも明らかにした.また、Joggleマウスの表現型が、本当にPMCA2遺伝子の変異によるか否かを検討するために、すでにPMCA2遺伝子の変異をもつことが報告されているwriggleマウスとの複合ヘテロ個体を作製した.得られた複合ヘテロ個体もjoggleマウスと同様の運動失調を示したので、IAPの挿入によってPMCA2遺伝子の発現が減少していることがjoggleマウスの運動失調の原因であると結論した.以上のことから、joggleマウスの表現型はPMCA2遺伝子の「ノックダウン」によって生じたものであり、PMCA2遺伝子にかかわった障害を考える上で病理学的にきわめて有用なモデルである.
|