2006 Fiscal Year Annual Research Report
有痛性糖尿病性神経障害発症におけるテトロドトキシン抵抗性Na+チャネルの関与
Project/Area Number |
18790593
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
真田 充 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10418759)
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Keywords | 糖尿病性神経障害 / 疼痛 / テトロドトキシン抵抗性Na+チャネル / PKCβ阻害薬 |
Research Abstract |
【研究の背景および目的】糖尿病患者および糖尿病動物において、痔痛や知覚過敏といった神経興奮性の亢進を示唆する症状が認められる。これらの症状を説明するものとして、痛覚閾値の低下、自発興奮の亢進などが報告されているが、細胞生理学的に検討した報告は少ない。今回、実験的糖尿病モデルラットから単離した脊髄後根神経節(DRG)神経細胞を用いて、痛覚の情報伝達に深く関与しているテトロドトキシン抵抗性ナトリウムチャネル(TTX-R Na+ channel)の機能について電気生理学的手法を用いて検討した。また、糖尿病性神経障害の治療薬として現在治験中の選択的PKCβ阻害薬LY333531(LY)について、糖尿病ラットの痛覚過敏を改善させることが報告されていることから、LYのTTX-R Na+ channelに及ぼす影響についても検討した。 【結果】 1.糖尿病群においてTTX-R Na+の電流密度は正常群に比し有意に増大した。 2.LY投与下ではTTX-R Na+電流は濃度依存的かつ可逆的に抑制された。 3.LYによるTTX-R Na+電流の抑制は、糖尿病群にてより強い効果を示した。 【考察】今回DRGニューロンでのTTX-R Na+ channelの詳細な機能解析を実施し、糖尿病状態でTTX-R Na+ channel機能が亢進していることを確認した。またLYのTTX-R Na+ channelに及ぼす影響についても検討したところ、糖尿病状態におけるTTX-R Na+ channelの機能異常がLY投与により改善される結果を得た。 TTX-R Na+ channelの機能異常は「末梢神経の異常発火」に直結するため、本研究は有痛性糖尿病神経障害の発症機序を考察する上で極めて重要であると思われる。またPKCβを中心としたTTX-R Na+ channelの調節機序が明らかとなり、特異的治療薬の開発に繋がるものと思われる。
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