2006 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫性末梢神経疾患における新たな抗糖脂質抗体の同定
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18790599
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
古賀 道明 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (60383014)
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Keywords | ギラン・バレー症候群 / 抗ガングリオシド抗体 / Campylobacer jejuni |
Research Abstract |
ギラン・バレー症候群(GBS)は自己免疫性末梢神経疾患で、自己抗体(抗ガングリオシド抗体)が患者血中に検出される。本研究では、GBSの原因病原体であるCampylobacter jejuniの菌体成分(lipo-ologosaccharide : LOS)を分析することで、未知の抗ガングリオシド抗体を同定することを目的に研究を行った。 まず、菌体成分を分析する菌株を選び出すために、C. jejuniが分離培養されたGBS 126症例におけるIgG抗ガングリオシド抗体(GM1、 GM1b、 GM2、 GD1a、 Ga1NAc-GD1a、 GD1b、 GT1a、 GT1b、 GQ1b)をBLISAにて測定し、 10症例においていずれの抗体も陰性であった。この10例において、分離菌株のLOS成分と血中IgGとの反応性を、薄層クロマトグラフィー免疫染色において検討した結果、7例で反応性があることが分かった。この7例から分離されたC. jejuni菌株のうち3株のLOS構造を質量分析で解析した結果、1株は従来からGBSの標的分子として知られているGM1b様構造を有していたが、残り2株は標的分子としては知られていないGD1cおよびGD3/GT1a/GT3//GQ3様構造を有していることが明らかとなった。 GBSにおける未知の標的分子を探索するために、 GBS患者から分離されたC. jejuni菌138株においてGM1、GD1a、 GQ1bエピトープを薄層クロマトグラフィー免疫染色で検討した。6株でいずれのエピトープも検出されず、そのうち1株は質量分析においてGa1NAc-GM1b様構造を有していることが分かった。 今回の結果により、GD1c、 GD3/GT1a/GT3//GQ3、 GalNAc-GM 1bがGBSにおける標的分子である可能性が示唆された。今後はGBSにおいてこれらの構造に対する自己抗体が検出されるか検討する必要がある。
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Research Products
(11 results)