2006 Fiscal Year Annual Research Report
実験的アレルギー性脳脊髄炎発症におけるケモカインCCL19/CCL21の役割
Project/Area Number |
18790605
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
桑原 卓 東邦大学, 医学部, 助手 (40385563)
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Keywords | 自己免疫疾患 / 実験的アレルギー性脳脊髄炎 / 多発性硬化症 / ケモカイン / T細胞調節 |
Research Abstract |
マウスの実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)は,腰部と下肢の麻痺や主に脊髄炎症を呈する自己免疫疾患である。EAEは共通性の多いことからヒト多発性硬化症(MS)の動物モデルと考えられ,このヒト疾患の予防法や治療法の開発に向けた有力な基礎的研究系として期待されている。我々は,リンパ節にT細胞の少ない表現型を示すDDD1マウスを発見した。リンパ節にT細胞が少ない事からこのマウスをplt(paucity of lymph node T cells)マウスと呼び,その後の解析でT細胞や樹状細胞に遊走活性をもつケモカインCCL19とCCL21を欠損する事が判明した。予備的検討として,C57BL/6を遺伝背景にもつpltマウスにmyelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)の部分ペプチドを免疫してEAEを誘導した。野生型マウスは100%の発症率で下半身麻痺などの症状を示したが,pltマウスは全く発症しなかった。この結果は,CCL19とCCL21はEAE発症に重要な役割を担い,即ちMS治療への可能性を示唆する。 pltマウスは発症しないことから,EAEにおけるCCL19とCCL21の役割として次の2つが考えられる。すなわち,1)発症に関わるT細胞を脳脊髄に浸潤させる,あるいは,2)発症に関わる病原性T細胞を分化誘導させる,という可能性である。そこで野生型マウスをMOGペプチドで免疫して調製したT細胞をpltマウスに移入したところ,EAE症状を認めた。他方,免疫したpltマウスのT細胞を野生型マウスへ移入したが発症しなかった。まだ予備的な実験結果ではあるものの,病原性T細胞の誘導にこれらのケモカインが重要な働きをしてるらしいと考えられ,ひとつの方向性にしぼることができた。病原性T細胞の性質や分化誘導因子に対するCCL19とCCL21の効果について検討を進めている。
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