2007 Fiscal Year Annual Research Report
実験的アレルギー性脳脊髄炎発症におけるケモカインCCL19/CCL21の役割
Project/Area Number |
18790605
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
桑原 卓 Toho University, 医学部, 助教 (40385563)
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Keywords | 自己免疫疾患 / 実験的アレルギー性脳脊髄炎 / 多発性硬化症 / ケモカイン / T細胞調節 |
Research Abstract |
ケモカインCCL19/CCL21は所属リンパ節へのT細胞や樹状細胞の遊走だけでなく,リンパ節内の局在も制御する。ヒト多発性硬化症のマウスモデル・実験的アレルギー性脳脊髄炎発症(EAE)における,これらケモカインの役割について検討した。 これらケモカインの欠損マウスは中枢神経組織抗原の免疫により誘導可能なEAEに抵抗性を示すことがわかった。ところが,症状を示さないものの欠損マウス由来のT細胞の抗原に対する増殖反応は野生型マウスのそれと同程度だった。そこで,抗原刺激に応答して産生されるサイトカインについて検討したところ,インターロイキン(IL)23やIL17の産生が,欠損マウスで低下していることが判明した。詳細に検討したところ,野生型マウスでは,IL23は樹状細胞から,IL17はCD4T細胞からそれぞれ産生されていることがわかった。そして,欠損マウスの細胞をCCL19あるいはCCL21で刺激すると樹状細胞からのIL-23産生が部分的に回復することがわかった。産生されたIL23により欠損マウス由来のCD4T細胞はIL17を分泌することも判明した。免疫した欠損マウスの所属リンパ節細胞を抗原により再刺激培養した後レシピエントマウスへ養子移入したところ,培養時にこれらのケモカインを同時添加した場合はレシピエントマウスにEAEを特徴づける下半身麻痺症状が認められたが,ケモカイン未添加の場合は発症しなかった。すなわち,CCL19/CCL21は樹状細胞からのIL23産生を介してEAEを誘導可能な病原性T細胞の成熟に関与していることが考えられる。 これらの結果をまとめて論文投稿しているが,CCL19/CC21欠損マウスでEAEを発症しない要因のひとつとして,自己免疫応答を調節する制御性T細胞の関与について検討している。さらに,樹状細胞においてCCL19/CCL21によるIL23誘導機構の解析も進めている。
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Research Products
(4 results)