2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規脂肪酸伸長酵素の生体内における機能ならびに病態への関与
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18790610
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松坂 賢 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助手 (70400679)
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Keywords | 脂肪酸組成 / インスリン感受性 / 肥満 / エネルギー代謝 / 肝臓 / 脳 |
Research Abstract |
新規脂肪酸伸長酵素Fatty acyl-CoA elongase (FACE)の生理的役割を解明するためにFACEノックアウトマウスを作製、解析したところ本酵素がパルミチン酸(C16:0)からステアリン酸(C18:0)の伸長反応酵素活性を完全に担うことが確認され、種々の興味深い脂肪酸分画の変動を認めている。FACEノックアウトマウスはエネルギー代謝関連遺伝子発現が変化し、野生型マウスに比べて高脂肪食負荷による耐糖能異常・インスリン抵抗性を惹起せず、生活習慣病病態の改善が認められた。したがってFACEによる脂肪酸組成の変化がエネルギー代謝遺伝子発現の重要な決定因子であり,生活習慣病発症のカギを握ることが示唆される。FACEKOマウスは高脂肪食を与えられても肝臓でのインスリン感受性が保たれており、そのメカニズムとして肝臓における主要なインスリンシグナルメディエーターIRS-2のmRNAおよびタンパクレベルでの発現増加とそれに伴うAktのリン酸化の亢進を確認した。FACEノックアウトマウス肝臓のトランスクリプトーム解析から、脂質代謝関連遺伝子の発現変動意外にも、シグナル伝達に関わるアダプター遺伝子や各種トランスポーター遺伝子、GPCR制御因子など興味深い遺伝子の発現変動が認められた。したがってFACEノックアウトマウス肝臓におけるエネルギー代謝変化やインスリンシグナルの亢進にはIRS-2/Aktシグナルの活性化意外にも様々な制御系の関与が示唆される。またFACE RNAiア出のウイルスにより肝臓でFACEをノックダウンすると食餌性肥満マウスのインスリン抵抗性を改善すること、FACEア出のウイルスを用いて肝臓でFACEを過剰発現させるとトリグリセリドの蓄積を伴う肝障害をきたすことを明らかにし、肝臓でのFACE発現および酵素活性変化が固体のインスリン感受性や肝機能に重要であると考えられる。今後これらの系での得練りグー代謝解析、脂質分析をより詳細に行い、FACEの生体内での役割や脂肪酸組成の変化の及ぼす影響をさらに深く解析し、重要な脂質分画あるいは脂肪酸組成の解明を目指す。
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