2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病腎症における高血糖誘導性エネルギー代謝調節転写因子SREBP-1の役割
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18790611
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 昭光 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (70344893)
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Keywords | 糖尿病 / 転写因子 / 糖尿病性腎症 / 動物 |
Research Abstract |
1.STZ処理SREBP-1強制発現(Tg)マウス・SREBP-1欠損(KO)マウスにおける尿中アルブミン排泄の検討 STZ処理KOマウスの尿中アルブミン排泄減少は再現性が得られた。STZ未処理のTgマウスおよびSTZ処理後のTgマウスの血糖値はそれそれ同条件の野生型マウスと比較し有意差はなかったが、Tgマウスの尿中アルブミン排泄は野生型よりも有意に増加していた。STZ処理は未処理状態のマウスに較べ有意増加を認め、STZ処理Tgマウスでは、相加的な増加を認めた。 2.Tgマウス・KOマウスの病理学的腎組織の検討 Tgマウス・KOマウスの腎臓について組織切片を作成し、病理学的にメサンギウム細胞増殖など糸球体の変化を観察した。Tgマウスにおいては野生型に対してメサンギウム領域面積の有意な増加を認めた。KOマウスでは有意な病理学的糸球体変化は認められなかった。 3.Tgマウスからの単離糸球体を用いた糸球体遺伝子発現パターン変化の検討 Tgマウス・野生型マウスから単離糸球体を得てRNA抽出・ミトコンドリア核酸抽出を実施した。Tgマウスの糸球体においてSREBP-1およびその下流発現遺伝子(FAS, SCD-1)の発現増加が確認された。糖尿病性腎症との関連が既報の炎症関連遺伝子TGFβ1も発現が増加していた。SREBP-1については免疫学的染色法により核内への移行が確認された. 4.培養細胞株を用いたメサンギウム細胞の遺伝子発現パターンの検討 MES-13細胞を用いて、培地中のブドウ糖濃度を変化させ、遺伝子発現パターンの変化を検討した。しかしながら、現在までのところブドウ糖濃度のみの変動では、炎症関連遺伝子などに一定した結果が得られておらず今後ともに培養条件を調節する必要があると思われる。
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