2006 Fiscal Year Annual Research Report
mTOR/Raptor、Rictorを介した代謝調節とインスリン感受性への関与
Project/Area Number |
18790613
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤城 緑 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50420211)
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Keywords | 糖尿病 / シグナル伝達 / 細胞・組織 / 蛋白質 / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
ラバマイシンの標的蛋白質であるmTORは、蛋白質合成の制御機構において重要な役割を担っていると考えられている。近年、Raptorは、p70 S6キナーゼに結合しmTORによるリン酸化を導くことが判明し、mTOR-S6K系によるIRS-1のセリンリン酸化に関与している可能性が示された。一方Rictorは、mTORに結合するとAkt/PKBのSer473をリン酸化し、活性化することが報告された。我々は、mTOR/RaptorやmTOR/Rictor複合体の量比がインスリン感受性の調節に関与しているか、また、この複合体は他にどのようなタンパクを含有しているかを明らかにし、インスリン抵抗性改善薬の開発に応用できる知見を得たいと考えている。1年目のH18年度は、mTORに結合しない変異型Raptor(Raptor-ΔCT)のアデノウイルスを作成し過剰発現させることによって、TORC1シグナルを不活性化させることが、インスリンシグナル伝達系に及ぼす影響を調べた。まずK/KAyマウスの尾静脈よりアデノウイルスを静注しRaptor-ΔCTを過剰発現させると、コントロールと比較して、肝臓でS6Kの活性が有意に抑制されることがわかった。糖負荷試験では、糖負荷後30分、60分でRaptor-ΔCTマウスの血糖値がコントロールに比べ有意に低値であり、空腹時、90分、120分の血糖値もRaptor-ΔCTマウスにおいて低値の傾向であった。さらに、インスリン刺激によるIRS-1チロシンリン酸化がRaptor-ΔCTマウスにおいて有意に亢進し、一方IRS-1セリン636/639リン酸化は有意に抑制された。インスリン刺激によるチロシンリン酸化関連PI3K活性とIRS-1関連PI3K活性はともにコントロールマウスの約2倍亢進していた。インスリン刺激によるAktリン酸化もRaptor-ΔCTマウスにおいて有意に亢進していた。現在はこれらの現象を、培養細胞を用いて再検討している。
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Research Products
(1 results)