2006 Fiscal Year Annual Research Report
AGEによる生体蛋白の翻訳後修飾機構の検討とその臨床への応用
Project/Area Number |
18790619
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
永井 竜児 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (20315295)
|
Keywords | メイラード反応 / AGE / グリケーション / 翻訳後修飾 / 糖尿病合併症 / 臨床マーカー |
Research Abstract |
生体には様々な翻訳後修飾の機構が存在するが、メイラード反応は特に糖尿病合併症、動脈硬化症といった加齢に伴って発症頻度が増加する病態との関与が強く指摘されている。申請者は(1)メイラード反応後期生成物であるAdvanced glycation end products(AGE)の生成メカニズムを分子レベルで解析した結果、主要な抗原性AGE構造として知られるN^ε-(carboxymethyl)lysine(CML)は、好中球や活性化マクロファージが産生する次亜塩素酸によって生成する経路が明らかとなった。本結果より、炎症部位にCMLが顕著に蓄積するメカニズムが明らかとなった。(2)抗CML抗体を用いた免疫学的解析より、アルコール性肝障害患者のmallory body、気候性角膜症患者の角膜に蓄積していることが明らかとなった。(3)動脈硬化部位では泡沫化マクロファージの細胞内及び細胞外マトリックスにCMLが蓄積していることが明らかとなっており、細胞外に存在するAGE蛋白がスカベンジャー受容体を介して細胞内に取り込まれ、その一連の過程より炎症性サイトカイン等の分泌を促進することによって、動脈硬化症の進展を惹起すると考えられている。今回、スカベンジャー受容体は1600mMのグルコースで作製したAGE蛋白は認識するが、より生理的なグルコース濃度で調製したAGE蛋白は認識せず、さらに、ヒト単球を細胞培養系でマクロファージに分化すると、マクロファージの細胞内にCMLが生成することから、動脈硬化部位のマクロファージ内に存在するAGE蛋白は、細胞内で生成したものであることが明らかとなった。(4)メチルグリオキサール由来の新規AGE構造に対するモノクローナル抗体を作製し、血液中における新規AGEの測定系を確立した結果、健常者に比較して透析患者で血中濃度が顕著に増加することが明らかとなった。
|
Research Products
(11 results)