2007 Fiscal Year Annual Research Report
AGEによる生体蛋白の翻訳後修飾機構の検討とその臨床への応用
Project/Area Number |
18790619
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
永井 竜児 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (20315295)
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Keywords | メイラード反応 / AGE / グリケーション / 糖尿病 / 生活習慣病 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
1.生体には様々な翻訳後修飾の機構が存在するが、メイラード反応後期生成物(AGEs)は特に糖尿病合併症、動脈硬化症といった加齢に伴って発症頻度が増加する病態との関与が強く指摘されている。AGE化蛋白は動脈硬化巣の泡沫化マクロラァージ内および細胞外マトリックスに存在するが、細胞外に存在するAGE化蛋白はマクロファージに発現するスカベンジャー受容体を介して細胞内に取り込まれると考えられていた。我々は、1600mMのグルコースで調製した高修飾AGE化蛋白はスカベンジャー受容体に認識されるのに対して、より生理的なグルコース濃度(50mM)で調製したマイルド修飾AGE化蛋白はスカベンジャー受容体に全く認識されないことを証明した。したがって、生体で泡沫化マクロファージ内に検出されるAGE化蛋白は細胞外に存在したAGE化蛋白が取り込まれたものではなく、マクロファージ細胞内で生成したと考えられる。 2.脂肪細胞の機能不全は糖尿病、高血圧、高脂血症を誘発し、動脈硬化をはじめとする様々な糖尿病合併症の発症を促進する。我々は脂肪細胞におけるAGEの生成経路を検討した。3T3-L1細胞を常法にしたがって脂肪細胞へ分化させ、細胞内におけるAGE生成の変化を測定した。その結果、システインとフマル酸の付加体であるS-(2-succinyl)cysteine(2SC)の細胞内濃度は分化に伴って16倍増加したのに対し、既知AGE構造体であるCMLおよびCMLは変化しないことがGC-MS/MS解析で明らかとなった。また、2SCに対する特異抗体および質量分析による解析から、細胞骨格蛋白、サイトカイン、ヒートショック蛋白などが2SC化していることが明らかとなった。よって、脂肪細胞においてフマル酸による蛋白の翻訳後修飾反応が進んでいることが明らかとなった。
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