2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変技術を用いての膵島内因性グレリンによるインスリン分泌抑制機構の解明
Project/Area Number |
18790623
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
出崎 克也 自治医科大学, 医学部, 助手 (90337329)
|
Keywords | 生理学 / 糖尿病 / 遺伝子改変動物 / グレリン / インスリン |
Research Abstract |
グレリンは、オーファン受容体である成長ホルモン放出促進因子受容体の内因性リガンドとして胃から精製された新規ペプチドである。本研究では、遺伝子改変技術を用いた分子生理学的解析によって、膵島内因性グレリンによるインスリン分泌抑制機構とその生理的意義を解明することを目的とする。 1.単離膵島標本を用いてインスリン分泌を測定した結果、グレリン遺伝子欠損マウスの膵島は野生型マウス膵島と比較してグルコース(8.3-16.7mM)誘発インスリン分泌が亢進していた。2.8mMグルコース条件下での基礎インスリン分泌は、両群で差が無かった。 2.グレリン遺伝子欠損マウスの膵島は、野生型マウス膵島と比較して膵島の密度とサイズ、膵島インスリン蛋白・mRNA量は両群で同程度であった。 3.グレリン遺伝子欠損マウスでは、グルコース負荷試験(2g/kg i.p.)時の血糖曲線が下方シフトし、血中インスリン濃度は増加していた。 4.インスリン負荷試験(0.75U/kg i.p.)時の血糖値には、両群で有意な差は認められなかった。 5.マウスに高脂肪食を与え肥満モデルを作成しグルコース負荷試験(2g/kg i.p.)を行った結果、野生型マウスでは耐糖能が悪化していたが、グレリン遺伝子欠損マウスでは耐糖能の悪化は観察されなかった。 以上の結果から、膵島内因性グレリンはインスリン分泌を生理的に抑制制御することにより血糖値を調節していることが示唆される。
|
Research Products
(3 results)