2006 Fiscal Year Annual Research Report
プロインスリンC-ペプチドの血管平滑筋細胞における新しい作用機構の解明
Project/Area Number |
18790627
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
小林 泰子 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (40418926)
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Keywords | 糖尿病 / C-ペプチド / 血管平滑筋細胞 / 糖尿病性血管障害 |
Research Abstract |
糖尿病において心疾患,脳血管障害といった大血管障害は,糖尿病患者のmortalityを左右する重大な問題である.我々は,糖尿病状態におけるアルドース還元酵素の遺伝子多型が大血管障害の発症に影響することを明らかにした(Diabet.Med.23:894-899,2006).本研究では,糖尿病患者における動脈硬化進展におけるプロインスリンC-ペプチドの治療的効果を明らかにする目的で,血管平滑筋細胞におけるC-ペプチドの直接作用に焦点をあて,C-ペプチドの作用機構の分子メカニズムについて,特に動脈硬化関連経路を中心にインスリンと比較検討した.培養ヒト大血管平滑筋細胞(hSMC)に対し,各種濃度のC-ペプチドおよびインスリンで刺激し,以下の項目について検討した.1.蛋白リン酸化の検討 C-ペプチドおよびインスリンは,ともに有意にMAP-kinaseのリン酸化を亢進した.一方,Aktのリン酸化については,C-ペプチドがコントロールに比較し有意に低下させたのに対し,インスリンはリン酸化を有意に亢進させた.2.Myosin binding subunit of myosin phosphatase (MBS)リン酸化の検討 Rho-kinaseの基質であるMBSのリン酸化をリン酸化特異抗体を用いて検討したところ,C-ペプチドは,コントロールに比較しMBSのリン酸化を増加させたのに対し,インスリンはMBSのリン酸化を変化させなかった.以上のことより,hSMCにおいて,C-ペプチドはインスリンとは異なる作用機序を有することが明らかとなった.特に,C-ペプチドの作用機序としてRho-kinaseの活性化が確認され,C-ペプチドが糖尿病性血管合併症の発症・進展に関与している可能性が示唆された.
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Research Products
(1 results)