2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規AMPK関連キナーゼSNARKの肥満発症への関与
Project/Area Number |
18790630
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
土原 一哉 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 室長 (00415514)
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Keywords | 糖尿病 / 脂質 / 肥満 / 栄養学 / AMPK / 疾患モデル動物 |
Research Abstract |
C57BL/6に戻し交配をおこなったSnarkホモ接合体変異マウスは胎生16.5日以降に90%が子宮内死亡した。一方Snarkヘテロ接合体変異マウスは出生時著変を認めず、発育・妊孕性にも異常はなかった。野生型、変異型マウス間で離乳時の体重には有意差はなかったが、生後4ヶ月以降変異マウスで統計学的に有意な体重増加を認めた。体重増加の要因は皮下および内臓脂肪組織の増大であり、加えて有意な肝肥大も認めたが、他の実質臓器、筋骨格系の重量に違いはなかった。肥満した変異マウスの肝臓は顕著な脂肪肝を呈し、また血清の中性脂肪、コレステロール値の異常な増加を認めた。さらに変異マウスでは耐糖能異常、末梢組織でのインスリン抵抗性を示した。若年マウスにおいても高脂肪食投与によって、変異マウスで肥満、耐糖能異常、脂肪肝が誘導されることが明らかとなった。以上の実験系において、変異マウスの摂食量が野生型と同等であったことから、Snarkの欠損は食欲の亢進には関わらないと予想された。変異マウスに認められる肥満は体内の余剰エネルギーを脂肪に変換して蓄積し、必要に応じてそれらを利用する機構に異常があるためだと考えられ、現在その詳細につき検討を進めている。変異マウスに認められる表現形は加齢、過食等の生活習慣により引き起こされるヒトのメタボリックシンドロームに極めて類似しており、Snarkヘテロ接合体変異マウスがヒトの生活習慣病の病態研究、治療開発のための優れた動物モデルになることが期待された。
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