2007 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチドによる選択的ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)3阻害剤の作製
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18790631
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
石塚 高広 Gunma University, 医学部, 医員 (80400779)
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Keywords | 甲状腺ホルモン / 転写制御 / ヒストン脱アセチル化酵素 / 甲状腺ホルモン不応症 |
Research Abstract |
N-CoRのdeacetylase activating domain(DAD)ペプチドを用いてHDAC3の選択的阻害剤作製のため、N-CoR/HDAC3の結合を阻害するDADフラグメント(92amino acid)を発現する発現ベクターmyc-nuc-DADとpoint mutationによりHDAC3との結合能のない発現ベクターmyc-nuc-mutDADを作製した。HeLa細胞にこれらの発現ベクターを遺伝子導入し抗myc抗体で免疫沈降を行うと、myc-nuc-DADではHDAC3が免疫沈降された。また抗N-CoR抗体で免疫沈降を行うとmyc-nuc-DADを発現させると、内因性N-CoRと共沈降される内因性HDAC3が減少することが確認できた。これらのことからDADフラグメントは細胞内で内因性N-CoRと内因性HDAC3の結合をある程度阻害できることが確認できた。またDADフラグメントの機能的なHDAC3阻害作用を検討するために。酵母転写因子であるGAL4のDNA結合ドメインに甲状腺ホルモン受容体(TR)のリガンド結合ドメインを結合させたGAL-TRを用いてルシフェラーセアッセイにて検討した。HeLa細胞においてGAL-TRはGAL4応答配列のあるプロモーター活性を抑制するが、myc-nuc-DADを共発現することによってGAL-TRの転写抑制能を軽度阻害できることが確認できた。また甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)遺伝子は甲状腺ホルモン(T3)存在下では転写が抑制されるが、T3非存在下では転写が活性化され、この転写活性化にはN-CoRの関与が示唆されている。そのでTRHプロモーターに制御ににおけるDADフラグメントの影響を検討した。HeLa細胞において内因性のN-CoRをsiRNAでノックダウンするとT3非存在下でTRHプロモーター活性は減弱した。このことは内因性N-CoRがTRH遺伝子制御に関与していることを証明している。そこでDADフラグメントがこの作用を阻害できるか検討した。myc-nuc-DADを発現させるとT3非存在下でTRHプロモーター転写活性が減弱したが、myc-nuc-mutDADを発現さてもTRHプロモーターの転写活性には影響なかった。このことはT3によって負に制御されるTRH遺伝子において、N-CoR/HDAC3複合体がT3非存在下でのTRH遺伝子プロモーターの転写活性化に関与し、その作用をDADフラグメントが阻害できることを示唆している。
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Research Products
(1 results)