2006 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺ガンにおけるCD44の発現と老化に関する研究
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18790642
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
奥井 理予 桐蔭横浜大学, 先端医用工学センター, 講師 (20327654)
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Keywords | 老化 / 癌 / CD44 / ヘリカーゼ |
Research Abstract |
ウェルナー症候群は、常染色体劣性の遺伝子疾患であり、日本人では10-20万人に1人の割合で起こる早老症の1つである。日本人の約100人に1人が保因者であり、患者の80%は日本人である。本研究では、ウェルナー症候群におけるCD44の発現解析を中心に、CD44のリガンド(ピアルロン酸、オステオポンチンなど)、ピアルロン酸合成酵素、ピアルロン酸分解酵素の発現解析を網羅的に行う。本研究でウェルナー患者の臨床症状とピアルロン酸に関係する遺伝子群の発現を比較・検討することにより、DNAヘリカーゼと老化・癌化の関連性を解明する手がかりが得られるものと期待される。 1.ウェルナー症候群患者のリンパ球由来細胞株樹立 申請者が所属する研究室では、約30年間にわたって収集したウェルナー患者の詳細な臨床データを保管している。平成18年度(2006年4月から2007年3月まで)においては、ウェルナー症候群の症状を呈する患者とその家族(計17人)から血液を採取後、リンパ球を分離し、EBウイルスを感染させ、リンパ球由来細胞株を樹立した。また、遺伝子診断として、血液からゲノムDNAを精製後、ダイレクトシーケンスを行い、WRN遺伝子の変異部位を確認するほか、ウェスタンブロット法によってWRNタンパク質の発現を確認した。平成19年度以降も細胞株の樹立を継続して行い、既存のデータに追加・保管する。 2.WRN遺伝子の変異解析 ダイレクトシーケンスに変わる遺伝子変異検索法として、今年度よりTaqMan probeを用いたタイピングを導入し、MRN遺伝子の変異解析の簡便化することに成功した。遺伝子変異部位としてすでに報告されている11箇所(Mutationl・2・4・5・6・7・8・9・10・12・14)についてTaqMan probeをデザイン・購入し、ゲノムDNAを鋳型としてABI7300リアルタイムPCRシステムを用いて解析を行った。TaqMan法の導入によりヘテロ変異の検出が非常に簡素化された。 3.RT-PCR法を用いたCD44遺伝子の発現解析 ウェルナー患者リンパ球由来細胞株からmRNAを精製し、逆転写酵素を使ってcDNAを合成した。ヒトCD44遺伝子のバリアントエキソン部分にPCRプライマーを設計後、PCRで増幅し、DNA電気泳動とシーケンスによって変異型CD44の発現パターンを確認した。コントロール群としては、ウェルナー患者と同様に、正常人リンパ球にEBウイルスを感染させた細胞株を樹立後、RT-PCRを行い、ウェルナー患者と正常人において発現している変異型CD44を比較・検討した。
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